先週のゴールド:小幅続伸の動き

金相場は小幅ながら4週連続で上昇しました。米利上げペースの鈍化観測を受けたドル安や、米中貿易協議の再開を背景に株価が上昇したものの、高値圏を維持しました。

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が前週に、市場の下振れリスクに一層敏感になり得るとした上で、必要ならば政策スタンスのシフトを準備すると明言しました。この発言を背景に、利上げペースが緩むと見込まれれば金保有のコストが低下するとの見方が強まり、金利の付かない資産であるドルの建て金は、上昇しました。

米中の次官級貿易協議は、当初の日程は7日~8日の予定であったが9日まで延長されました。米国側は中国が米国産製品を追加購入することを約束したと明らかにしたことで、株価は堅調に推移しましたが、金相場は高値圏を維持しました。

パウエル議長は10日にも、「FRBは金利政策では忍耐強くなれる」との認識を示し、利上げを急がない姿勢を示したことで、下値も限られました。11日発表の昨年12月の米消費者物価指数(CPI)は9ヶ月ぶりに前月比マイナスとなり、パウエル議長を含む利上げに慎重な複数のFRB当局者の発言を後押しする結果となりました。

世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールドトラストの保有高は1月4日に798.25トンから、11日には797.71トンにわずかながら減少しました。米国株が上昇基調を続ける中、米金利が上昇していることで、安全資産である金を手放す投資家も出始めているといえます。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表する12月28日、1月4日発表予定のCOMEX金先物市場での大口投機筋のポジションは、米政府機関の一部閉鎖の影響により発表されていません。CFTCは、政府機関閉鎖が解除され次第、公表を再開する方針を示しています。

円建て金相場は反発。ドル建て金相場はほぼ横ばいで推移し、ドル円相場も円高に進まなかったことから下値が支えられました。

【図表1】先週のゴールド 縦軸:円建てゴールド/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成

今週のゴールド:高値圏での値固め

金相場は上昇基調が続くと考えます。先週は1,300ドルに近づく中、米国株が堅調に推移したことで上値が重くなりました。

米国株は買い戻しが続いており、これを見た投資家は、これまで資金を振り向けていた債券市場から株式市場に資金の一部を再びシフトさせているように見えます。その結果、債券利回りが上昇しています。

一方、パウエルFRB議長は、状況次第では利上げを慎重に検討するとしており、今後の利上げペースが大きく鈍化する可能性が示唆されています。他のFRB高官も同様の発言を繰り返しており、FRBによる利上げは想定よりも相当遅れる可能性があります。

その一方で、債券利回りが上昇している様子は、かなりの矛盾をはらんでいるといえます。過去の例を見るまでもなく、株価のピークアウト後の利上げ停止は、FRBが将来の景気や株価動向に懸念をいだいていることの証左であり、今回のパウエル発言もこれに準じたものと考えられます。

そのため、今後は米国株の買い戻し一巡後は、再び債券利回りが低下し株価が反落に向かう中で、再び金市場への関心が高まるものと思われます。

投資家は、昨年末の「クリスマス・クラッシュ」の後、株式は売られすぎと判断しているようですが、株式市場の調整はこれからが本番であり、その過程で投資家は安全資産である金に注目せざるを得なくなると考えます。現在の経済環境や様々な市場動向は、2000年のハイテクバブル当時とほぼ同じであり、金相場は相応に上値を試すものと思われます。

日柄調整が完了すれば、金相場は節目の1,300ドルを超え、いよいよ本格的な上昇相場に向かうものと考えます。節目の1,300ドルを超えると、1,350ドル、さらに昨年1月の高値1,366ドルを目指して水準を切り上げるでしょう。その結果、年末に向けて1,500ドルから1,550ドル近辺まで上昇する可能性もあると考えています。

円建て金相場も堅調に推移すると考えます。今後はリスクオフの円高が上値を抑えやすくなりますが、ドル建て金相場の上昇が牽引する形で、円建て金相場も上値を試すものと考えます。

4,550円を維持したことから、このまま反発基調が維持できれば、4,600円超えで再び上値を試す動きになるでしょう。引き続き、4,550円から4,500円までの押し目があれば、ゆっくりと買うことを検討したいところです。

プラチナ:反落の展開

プラチナは反落しました。前週は同じ白金族系メタルのパラジウムの急伸につれる形で大幅上昇しましたが、チャートの節目である830ドルを超えられなかったことで手仕舞い売りが優勢となり、反落しました。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表する12月28日、1月4日発表予定のNYMEXプラチナ先物市場での大口投機筋のポジションは、米政府機関の一部閉鎖の影響により発表されていません。CFTCは、政府機関閉鎖が解除され次第、公表を再開する方針を示しています。

前週の上昇要因だったパラジウムの上昇は前週も続いており、9日には一時1,342.43ドルまで上昇し、過去最高値を更新するなど、高値圏を維持しています。高水準の需要と供給減による持続的な不足に見舞われているもようであり、そう簡単には下げないようにみえます。

パラジウムは自動車の排出ガスを抑制する触媒に使用されます。一時は金相場よりも高値を付けた格好であり、実需だけでなく、投機家の買いが入っている可能性があります。また、パラジウムは主要生産国がロシアですが、価格を高水準でとどめたいため、意図的に供給を絞っている可能性もあります。

しかし、プラチナは主要生産国が南アフリカであり、現時点で供給調整を行っているとの報道もなく、価格の上昇は一時的にとどまる可能性もあります。今後もパラジウムの上昇基調が続けば、連想買いで上昇する可能性がありますが、基本的には別々に見ておくべきでしょう。

繰り返すように、パラジウムはガソリン車に搭載される自動車触媒の原料ですが、ディーゼル車向けがメインのプラチナについては、将来的なディーゼル車の販売シェアの低下観測もあり、買いづらい状況にあります。そのため、金相場やパラジウム相場の動向に注意しながらも、基本的にはプラチナそのものの材料や相場展開を注視すべきと考えます。

今後は830ドルを超えられるかどうかがきわめて重要と考えます。ここには長期的なレジスタンスが位置しており、これが重いようだと、上昇は困難といえます。

逆にこれを超えると、違う相場展開になるでしょう。材料が後からついてくる形で、875ドル、935ドル、1,000ドルと上値を切り上げる展開になってもおかしくありません。しかし、逆に800ドルを再び割り込めば、調整基調が強まり、780ドルのサポートを維持できるかを確認することになるでしょう。

円建てプラチナ相場は小幅反落しました。ただし、節目の3,000円前後での推移を維持しており、崩れているわけではありません。したがって、まずはドル建てプラチナ相場の動向を注視したうえで、為替動向にも注意しながら3,000円を固めることができるかを確認したいところです。

そのうえで、ゆっくりと買い始めることを検討したいところです。ただし、3,000円を割り込んで下げた場合には、安易に押し目を買うことはせず、少なくとも直近安値の2,900円付近でサポートできるかを確認したいところです。先週同様に、3,000円を大きく超えるような上昇になったほうが、買いやすいと考えます。

【図表2】プラチナ 縦軸:円建てプラチナ/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成

シルバー:小幅反落の展開

シルバーは小幅反落しました。ただし、前週までの上昇後の高値圏である15ドル台半ば以上の水準を維持しており、堅調な動きに終始したといえます。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表する12月28日、1月4日発表予定のCOMEX銀先物市場での大口投機筋のポジションは、米政府機関の一部閉鎖の影響により発表されていません。CFTCは、政府機関閉鎖が解除され次第、公表を再開する方針を示しています。

銀相場は金相場の上昇に加え、最近の株価の戻り歩調も相場の下支えにつながっているように思われます。そのため、昨年11月末には86倍超と、歴史的水準にあった金/銀レシオは、先週末には82倍台に低下しました。

一時的に行き過ぎたリスクオフの動きが緩和される形で株価が上昇していることが、金/銀レシオの低下につながっているように思われます。とはいえ、銀は工業用需要がメインであり、安全資産として買われることは基本的にはありません。

そのため、今後株価の上値が重くなり、再びリスクオフの状況に陥れば、現在の銀相場の上昇基調が反転し、再び下値を試す可能性も否定できません。また、短期的にも買われすぎ感が強まっているように見えますので、ここからの動向には要注意と考えます。

チャート面でも、15.70ドルにあるレジスタンスを超えられなかったことから、調整相場に入ると15ドル割れから14ドル台後半にまで売られる可能性もあると考えられます。株式市場の動向と併せて慎重に見ていくようにしたいところです。逆に15.70ドルを超えるような動きになれば、16.40ドルを目指す強い動きになると考えられます。

円建て銀相場は反落しました。節目の57円を超えられずに徐々に水準を切り下げています。とはいえ、崩れたわけではないため、まずは56円を維持できるかを確認したいところです。

そのうえで、再び反転して57円超えとなるような強い展開になれば、トレンドに乗る形で買いを検討したいところです。ただし、逆に56円を試し、これを割り込むようであれば、トレンドが崩れることになるため、買いは慎重に検討すべきと考えます。56円のサポートを確認できれば、その時点で買い場を探せばよいでしょう。

【図表3】シルバー 縦軸:円建てシルバー/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成