先週のゴールド:大幅上昇の展開

金相場は大きく値を上げました。ドルの下落が材料視されました。また、世界的に株価が下落したことで、投資家が金に資金を逃避させたことも押し上げにつながりました。

18・19日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利を0.25%引き上げ、年2.25~2.5%とすることを全会一致で決めました。一方で、来年想定する利上げを従来の3回から2回に下方修正しました。

来年の利上げ見通しが引き下げされましたが、米連邦準備制度理事会(FRB)の見方がタカ派的だったことを受けて、金に売りが出ました。ただし、翌20日には一時1,265.28ドルと7月9日以来の高値を付けました。

株安を受けて、資金が安全な逃避先である金に流入しました。FRBの金融政策スタンスが、世界的な経済成長の減速懸念を強める内容となったことも買いにつながりました。週末には下落しました。ドルが底堅く推移したことから、それまでの上昇に対する利益確定の売りが出ました。

第3四半期の実質GDPの確報値が年率換算で前期比3.4%増と、改定値の3.5%増から下方改定されましたが、11月の個人消費支出は前月比0.4%増と堅調だったことでドルが反発し、金は上値を切り下げました。

世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールドトラストの保有高は12月14日の763.56トンから21日には772.67に増加しました。CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX金先物市場での大口投機筋のポジションは、18日時点で7万5960枚の買い越しとなり、先週から買い越し幅が1万5461枚拡大しました。

買いポジションが1万2568枚増加し、売りポジションが2,893枚減少しました。金相場が堅調に推移する中、この3週間は新規の買いが増加しています。

円建て金相場は反落しました。ドル建て金相場は上昇しましたが、米ドル/円が円高に振れたことから下げました。

【図表1】先週のゴールド 縦軸:円建てゴールド/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成

今週のゴールド:堅調地合いは継続

金相場は上昇基調が続くと考えます。米国を中心に、世界的な株安傾向がかなり鮮明になってきました。

特に米国株の下げが目立つようになってきました。米国株はこれまで他の株式市場にくらべて堅調に推移してきました。しかし、その動きにかなり明確な変化が見られ始めています。投資家は株式を売却し、債券に資金をシフトさせる動きを強めており、これが米長期金利の低下を促しています。

このように、構造的に利子のつかない金が買われやすい地合いになっています。今回のFOMCでは、FRBは「米景気は強固なペースで拡大」との評価を踏襲し、現時点で堅調な経済成長が続いているとの見方を示しました。

ただし、一定ペースの利上げ継続を示唆してきた「さらなる緩やかな引き上げ」との表現を「いくらかのさらなる緩やかな利上げ」に修正し、打ち止めが視野に入っていることを改めて示唆しました。

また、景気のリスク評価は「おおむね均衡」を残しつつ、「世界の経済と金融情勢を注視する」と警戒感を示しました。実際に世界的に景気減速や株価調整が進んでおり、投資家のリスク回避姿勢は今後、さらに強まるように思われます。

これまで金相場は、株高や金利上昇を背景に上値の重い展開が続いてきました。しかし、株価が下落に転じ、金利も頭打ちの様相です。そのため、金市場への関心は今後ますます高まるでしょう。さらに、米中関係のさらなる悪化や地政学的リスク、英国のEU離脱交渉の難航やドイツの政局、イタリア財政問題など、欧州でも引き続き不透明要因が残っています。

これらから、ドル建て金相場は1,270ドルを超えると、1,300ドル、さらに1,350ドルと上値を切り上げる展開になると考えられます。

円建て金相場は為替相場がポイントになりそうです。株価の下落でリスクオフの状況が顕著になっており、安全資産である円が買われやすくなっています。そのため、ドル建て金相場が堅調に推移した場合でも、円高が上値を抑えやすい地合いにあります。

とはいえ、ドル建て相場が上昇すれば、今後は円建て相場も底堅い展開になると考えます。そのため、4,600円を回復したところを狙って買いを検討する方が良いと考えます。

プラチナ:安値圏での推移

プラチナは小幅下落しました。ただし、780ドルから800ドルのレンジで安値圏での横ばいでの動きに終始しました。金相場が上昇する中、反応が鈍い状況が続きました。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するNYMEXプラチナ先物市場での大口投機筋のポジションは、18日時点で1万1387枚の買い越しとなり、前週からネット買い越し幅が396枚増加しました。買いポジションが1,278枚減少しましたが、売りポジションが1,674枚減少したことで、ネットの買い越し幅がわずかに増えました。

安値圏での横ばいの動きになっていることから、売り方および買い方が徐々にポジションを縮小していることがわかります。現時点で新しい材料もなく、市場参加者も方向感を見極めようとしています。そのため、狭いレンジでの動きに終始しています。

株式市場が不安定さを増す中、需要の大半が工業用であることから、需給面から相場が上向くのは難しい状況にあるように思われます。また、繰り返すように、ディーゼル車の触媒向け需要が今後低迷するとの見方が上値を抑える状況も変わりません。

したがって、金相場が急騰するなどの動きになり、それにつれる形でプラチナにも買いが入るといった状況にならない限り、現状では相場が大きく上昇するのは難しい状況にあるといえそうです。相場水準が低い状況にもかかわらず、世界最大のプラチナ生産国である南アフリカから生産調整などの声も聞かれません。

このような状況にあることを再確認した上で、慎重に値動きを見ていく必要があります。これまでもみ合ってきたレンジの下限である780ドルを割り込むと大きく下落する可能性があるため注意が必要と考えます。

円建てプラチナ相場は反落しました。円高が大きく影響し、直近安値を更新しました。ドル建て相場の上値が重いことから、円高基調では下げやすくなります。今後も円高リスクが高いと考えられることから、為替市場の動向にも注意が必要です。今は押し目買いは避け、3,000円を回復して上向くのを確認したうえで、買いを検討したいところです。

【図表2】プラチナ 縦軸:円建てプラチナ/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成

シルバー:狭いレンジでの推移

シルバーは小幅反発しました。ただし、14.50ドルから14.80ドルの狭いレンジでのもみ合いに終始しました。金相場は上昇しましたが、銀相場はレンジ取引となり、かなり慎重な動きになりました。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX銀先物市場での大口投機筋のポジションは18日時点で1万9831枚の買い越しとなり、前週から買い越し幅が8,575枚拡大しました。買いポジションが2,887枚増加し、売りポジションが5,688枚減少しました。

投機筋は金相場が堅調に推移していることや、下値が堅いことから、買い戻しを急ぐとともに、新規に買いを入れていると考えられます。銀相場はレンジ取引が続いています。銀独自の材料がないことから、このレンジを抜け出すには金相場の急伸などの材料が必要と考えられます。

一方で株式市場が不安定な動きにあり、世界的に景気鈍化懸念が強まっています。銀は工業用需要が多いため、景気鈍化や株価下落に対してネガティブな反応をする可能性が高いと考えられます。

また、このような状況の時には、金相場に対して相対的に安くなりやすく、上昇しづらいといえます。そのため、まずは14.50ドルにある重要なサポートを維持し、下値を固めることができるかを注視したいところです。

一方で、重要なレジスタンスとなっている14.95ドルを明確に超えると、テクニカル主導で上昇する可能性があります。金相場の動きを見ながら、そのような展開になるかを確認したいと考えます。

円建て銀相場は反落しました。節目の56円で上値を打たれたあと、下落基調が続いています。また、円高基調であることから、上値が抑えられる可能性もあります。そのため、まずは54円以上の水準を維持し、下値を固めることができるかを確認したいと考えます。その上で、55円を回復して明確に反発基調に入ったことを確認し、買いを検討したいところです。今は下落場面での押し目買いは避けたいところです。

【図表3】シルバー 縦軸:円建てシルバー/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成