株式投資をしていたら、おさえておきたいのが税金や確定申告の基礎知識です。税金で損しないために年末までにやるべきこととは? NISAの非課税期間が終わるタイミングで何をするといい? 個人投資家でもある公認会計士・税理士の足立武志氏に、「年末までにおさえておきたい 株式投資・税金のポイント」を解説していただきました。

※当コンテンツは2018年11月19日収録セミナーの書きおこし記事です。

税金に関する知識を知れば得られる恩恵も大きい

公認会計士・税理士の足立武志です。本日のオンラインセミナーは年末までにおさえておきたい株式投資の税金のポイントを話します。

株式投資と税金は切っても切れない関係にあります。税金を払い忘れたら当然ペナルティーが来ますが、税金に関する知識をしっかりと知ることでいろいろな恩恵が受けられます。

このことを知らないと、せっかくその恩恵を受けられるはずが全く受けられないということにもなりかねません。株式投資に関する税金の基本的な知識は、ぜひとも押さえていただきたいと思います。

私の本業は公認会計士・税理士です。それとは別に個人投資家として、約20年株式投資をしています。現在は、ブログやメールマガジンなど、色々な形で情報発信しています。また『株を買うなら最低限知っておきたい ファンダメンタル投資の教科書』(ダイヤモンド社)など、株式投資に関する本を多数出していますので、ぜひご覧ください。

本日の内容はこの3点です(図表1)。

【図表1】
 

※2は中編、3は後編でご紹介します。

配当課税を確定申告で取り戻せる人の条件

まず、株式投資の税金について基本を再確認します。

株式投資で利益を得た場合にかかる税金は、大きくわけて配当金を受け取った場合にかかる配当課税と株を売却して利益を得た場合にかかる譲渡益課税の2つです。

配当金は、受け取る時にあらかじめ20.315%の税金が源泉徴収で天引きされています。何もしなくても、配当金に対しての課税はこれでもう終わっていますが、確定申告をすれば、配当控除の適用を受けられたり、損益通算ができたりするようになります。

確定申告には、総合課税を選ぶ、もう1つは申告分離課税を選ぶこの2つの方法があります。

もう少し詳しく見ていきましょう。まず源泉徴収のみで完了する件は、先ほど話した通り、配当金を受け取る時にもうすでに天引きされています。これによって配当金に対する税金の支払いというのはもう済んでいますので、何もしなくても OK です(図表2)。

【図表2】
 

ただこの天引きされている税率というのが20.315%なんですね。ですから配当金以外の所得が少ない場合は、天引きされた税金が払いすぎになっています。確定申告をすることによって、この払いすぎた税金が還付される(図表3)ということになります。

【図表3】
 

もう1つは確定申告で申告分離課税を選ぶ場合です。株式の売却損があって配当金を受け取っている場合、この売却損と配当金は相殺できます。ただ相殺するためには確定申告をしないといけないことになっています。確定申告することによって売却損と配当金が相殺され、配当金を受け取った時に天引きされた源泉徴収の税金が戻ってくる仕組み(図表4)になっています。

【図表4】
 

自分の所得に応じて、天引きされたままで終わらせるのか確定申告するのか、どちらが有利か変わってきます。まずシミュレーションをして、天引きされたままで終わらせるのか確定申告をするのかを決めてください。

あと確定申告をすると、配当金が所得に加わります。そうすると配偶者控除や扶養控除といった様々な控除、また国民健康保険料に影響を与えることになります。ですから、配当金から天引きされた税金を取り戻そうとして確定申告した結果、逆に損をしてしまうこともあります。これも事前にシミュレーションをした上で、確定申告をした方がいいのかどうかを決めてください。

つまり、配当金に対する課税は何もしなくても OK、 ただ収入が少ない方の場合は20.315%は取られ過ぎになっていることが多いので、総合課税で確定申告をした方が有利です。売却損と配当金を相殺したい場合は、申告分離課税という制度で確定申告をします(図表5)。

【図表5】
 

配当金については会社から計算書が送られてくるのですが、その計算書をすぐなくしてしまう方も結構いるみたいですね。でも配当金をいくら得たかを自身で把握しておかないと、確定申告をするかどうか判断するためのシミュレーションができなくなりますので、しっかりと受け取った配当金がいくらなのか記録をしておいてください。

NISAでも配当金に課税される受け取り方がある

配当金の受け取り方法は4つあります(図表6)。4つのうちどれが一番有利かというと、この3番の受け取った配当金を証券会社の口座に入金してもらう株式数比例配分方式です。

【図表6】
 

この株式数比例配分方式を選ぶと、まずNISA口座で受け取った配当金が非課税になります。実は配当金の受け取り方法は株式数比例配分方式を選んでおかないと、NISA口座があっても課税されてしまうのです。

株式数比例配分方式を選んでおけば、源泉徴収ありの特定口座で発生した売却損と配当金を証券会社が自動で相殺してくれます。原則は確定申告が必要な売却損と配当金の相殺を、自動でできる株式数比例配分方式を選ぶのが一番有利(図表7)だと思います。

【図表7】
 

確定申告で損失を最大3年繰越できる

次に売却益(譲渡所得)について簡単にご説明します。

先ほど配当金と税金の説明で申し上げた通り、株を買った値段と売った値段の差額がプラス利益である場合、この利益に対して20.315%の税金が課税されます。逆に買った値段と売った値段の差額がマイナスとなり、損が出た場合は当然課税はありません。

損失が出た場合は、他に株を売った売却益や配当金といった利益と相殺します。それでも相殺しきれないで損失が残ってしまった場合は、翌年以降に損失の繰越ができます。この損失の繰越は確定申告が必要になるのですが、それによって最大3年間の繰越ができます。

簡単に計算例(図表8)を出しましたけども、50万円で買った株を100万円で売って手数料が1,000円ずつかかったとすると、この場合は498,000円に20.315%の税金がかかるという計算になります。

【図表8】
 

中編「損益の把握」に続く。

※2018年11月19日収録セミナーの書きおこし記事です。