米中首脳会談結果で市場は好転、でも世界経済の先行きは

市場の関心を集めていた米中首脳会談は、市場が期待していた形に近い結果となりました。トランプ米大統領と中国の習近平国家主席はブエノスアイレスで首脳会談を開き、両国間の貿易戦争を「一時休戦」することで一致しました。

米国が年明けに予定した対中追加関税の25%への引き上げを当面凍結することなどを市場は好感し、中国との取引が多いボーイングなどに買いが膨らみ、週明け3日のダウ平均は一時、約440ドル高まで買われるなど、市場心理が大きく好転しました。

今回の会談で、交渉開始の来年1月1日から90日間は互いに新たな制裁関税を控えることになりました。しかし、これまでの制裁関税は引き続き有効であり、さらに今後の交渉が決裂すれば、事態はさらに悪化します。90日間の交渉についても、期間が短く、合意は困難でしょう。つまり、問題の先送りにすぎず、終結のめどは見えません。期限終了後に米国が関税を引き上げれば、相当の困難が待ち受けることになるでしょう。

今回の米中摩擦の背景には、軍事や先端技術などに関する両国の激しい覇権争いがあります。対立は長期化すると見るのが賢明です。いまのトランプ政権のスタンスは、少なくとも2020年の米大統領選まで続きます。当然、摩擦も続きます。世界経済の先行き不透明感が増しており、企業が設備投資を控えることから、成長の鈍化傾向がより鮮明になる可能性があります。

今後の焦点は金融政策と見る向きの強まり

一方、米中首脳会談を通過したことで、市場では、今後の焦点は米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策に向かうとの見方が多くなっています。

12月18・19日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)では0.25%ポイントの利上げが決定されるでしょう。ただし、これまで3回と予想されていた来年の利上げ見通しは1回に引き下げられるでしょう。これまでのパウエルFRB議長やクラリダFRB副議長の発言などで、今後の利上げペースが鈍化するとの見方が強まっています。

しかし、米国では長期金利がすでに低下傾向に入り、10年債利回りは節目の3%を下回ってきました。一方で、短期金利は将来の利上げを織り込む形で上昇しています。これにより、イールドスプレッドがネガティブな縮小に向かっています。すでに2年債と5年債のスプレッドがネガティブになりました。これはかなり危険な兆候です。2-10年債のイールドスプレッドも一気に0.15%にまで縮小してきました。景気のピークアウトと株価の下落への転換が近いことを示しています。

住宅指標もすでに明確にピークアウトしています。米国株の将来の下落を示唆する指標がここにきてかなり増えてきました。11月のISM製造業景況感指数は改善しましたが、センチメントを示すソフトデータですので、株価が下げると低下しますので要注意といえます。

【図表1】フェデラル・ファンド(FF)レートの推移(%)
出所:各種資料からエモリキャピタルマネジメント(株)が作成

 

米国株を手仕舞いし、押し目買いのタイミングを探るとき

これまで米国株には強気のスタンスでしたが、今後は調整に向かう可能性がかなり高くなっているように思われます。それを示すデータとしては、イールドスプレッドなどの金利動向、鈍化傾向が鮮明な住宅指標、下落基調にある原油相場など、数多くあります。また、別の指標で見れば、いまの米国株の水準が歴史的な割高圏にあることを理解している投資家はあまり多くないようです。

いまの米国株は2000年に起きたハイテクバブルの時に非常に似ています。FRBによる利上げペースや住宅指標の悪化、原油価格の下落などもそうです。さらにいえば、対GDPでの米国株の時価総額の比率がハイテクバブルの時を超えて、過去最高水準にあります。

これらの状況から、いまは米国株を手仕舞いし、押し目買いのタイミングを探るときであると考えています。そのタイミングや水準についても今後解説したいと考えています。