先週のゴールド:上昇後は小動き

金相場は小幅上昇しました。週初は上昇しました。米連邦準備制度理事会(FRB)の高官らが、金融引き締めサイクルの終わりに近づいている可能性があることを米国経済は示していると発言しました。これを受けて、ドルが2週間ぶり安値を付けたことが、金相場の支援材料になりました。

世界的に株価が大幅に値下がりしたことを受けて、投資家はドルや米国債を選好しています。これによって、米国債利回りは7週間ぶりの低水準に落ち込んだものの、金への買いは手控えられました。その後は上昇し、2週間ぶりの高値を付けました。

ドル安や米国の利上げペースに関する不透明感が支援材料となり、一時11月7日以来の高値となる1,230.07ドルまで上昇しましたが、週末11月23日には下落しました。

原油価格が急落するなど世界経済の鈍化懸念から、安全資産とされるドルが買われたことに圧迫されました。原油価格の下落がコモディティへの投資意欲を減退させたことも、金への投資を手控えることにつながった可能性があると考えられます。

また、ユーロ圏総合PMI(購買担当者景況指数)が低調だったことで、ユーロが対ドルで下落したことも圧迫しました。世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールドトラストの保有高は11月16日の759.68トンから11月23日には762.92トンに増加しました。投資家の買いが徐々に増えていることがわかります。

円建て金相場は上昇しました。ドル建て金相場の上昇に加え、ドル/円がやや円安で推移したことが押し上げにつながりました。

【図表1】 先週のゴールド 縦軸:円建てゴールド/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成

今週のゴールド:高値圏を維持できるかに注目

金相場は高値圏を維持するかに注目しています。世界経済の減速や英国のEU離脱、イタリアの財政懸念、米中通商交渉などの不透明感があり、これらの地政学的リスクが金相場を支えるかを確認することになります。

一方で、FRBが中立金利まで利上げを行うか、それを超える水準まで利上げを実施するかについても市場の関心が高まっています。12月18・19日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げが行われるとみられていますが、一段の株安となれば、利上げが見送られる可能性も否定できません。

また、2019年の利上げ見通しがアップデートされますが、その内容次第ではドルが売られ、結果的に金が買われる可能性もあります。また、投資家のリスク回避姿勢が鮮明になりつつあります。米国債利回りが上昇しなくなっており、これが利子のつかない金にとってはきわめて重要な材料となります。

一方、市場は月末にアルゼンチンで行われるG20首脳会議に関心を向けています。この会議の前に米中首脳会談が行われる見通しですが、ここで米国による中国への制裁関税が棚上げされるとの期待が高まっているようです。

その場合には、株価が上昇し、金が売られる可能性があります。もっとも、米国の中国に対する厳しい対応が緩和する可能性は低いと考えられます。そうであれば、株価の反転は難しくなり、市場の不透明感はさらに高まることで、安全資産としての金の魅力が高まることになりそうです。

金ETFの動向を見る限り、一部の投資家はリスク回避姿勢を強めているようです。これらの買いが続くことで、金相場が1,235ドルにあるレジスタンスを超えるようだと、基調は一気に上向く可能性は十分にあるでしょう。

その場合には、1,300ドル前後まで一気に上昇すると考えられます。このような背景もあり、リスク回避の動きが強まったときに備え、金を保有することを検討したいところです。

円建て金相場は節目の4,500円を回復して上向いています。4,600円を試す動きになれば、さらに買いが入りそうです。これまでのレンジでのこう着感が緩和されることになれば、4,600円を超える可能性は十分にあると考えます。

プラチナ:下値を確認する展開

プラチナは小幅続落しました。週初は一時855ドルまで上昇しチャートポイントと見られていた848ドルを超える場面がありましたが、その勢いは続かず、その後は徐々に値を切り下げ、838ドルで週末の取引を終えました。

ただし、830ドルにあるサポートを維持しており、基調は崩れていないと判断できます。引き続き、プラチナ市場自体に明確な材料はありません。

最近は世界最大のプラチナ生産国である南アフリカの通貨ランドとの連動性もやや薄れている印象があります。以前は、南アランドが上昇すれば、それにつれる形でドル建てプラチナ相場が上昇することが多くありました。しかし、最近は金相場や最大の需要先であるディーゼル車向けの触媒需要における、将来的な需要減退懸念が意識されています。

もっとも、南アランドは一時期の軟調な地合いから脱しており、新興国通貨不安から売られる状況ではなくなりつつあります。もっとも、リーマンショックのような金融危機の際には南アランドはドルへの回帰を背景に売られており、同時に工業用需要がメインのプラチナも大きく売られています。

ちなみに、リーマンショック時には、2008年3月に2,290ドルの高値を付けた後、同年11月には732ドルまで急落し、68%もの下落となっています。

現在は当時ほど相場水準が高くないため、金融市場にショックがあった場合でもここまで下げる可能性は低いと考えられます。しかし株価が不安定であることから、注意だけは必要と考えます。その意味でも、プラチナ相場の反転には、金相場の堅調さに加え、株価の上昇を背景に投資家心理が好転することが不可欠でしょう。

まずは830ドルのサポートを維持し、848ドルのレジスタンスを超えるかに注目したいところです。そのうえで、11月7日につけた877ドルを上抜けるかに注目したいと考えます。

逆に830ドルのサポートを割り込むと、800ドルまでの下落となる可能性高いと考えられます。その場合には、800ドル前後で下げ渋り、サポートを作れるかを確認することになりそうです。

円建てプラチナ相場は3,200円前後で底堅く推移しました。為替相場がやや不安定でもあり、まずはドル建てプラチナ相場が底堅く推移し、3,200円で下値を固めることができるかを確認したいところです。そのうえで、反発に転じた場合には、買いを検討したいところです。3,300円を回復すれば、より買いやすくなると考えます。

【図表2】 プラチナ  縦軸:円建てプラチナ/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成

シルバー:上値の重い展開

シルバーは反落しました。前週の反発の動きを引き継ぐ形で上昇し、11月21日には14.55ドルまで値を上げる場面がありました。しかし、その後は買いが続かず、金相場の上値の重さもあり、週末に急落して14.24ドルで引けました。上値をうかがいましたが、買いが続かず、いったん手仕舞い売りが出ていると考えられます。

結果的に、14.40ドル前後に位置する重要なテクニカルポイントを維持できなかったことや、短期的に買われすぎ感があることから、目先は調整含みの動きになりやすいと考えられます。

また、株式市場が不安定なこともあり、工業用需要がメインの銀には買いが入りにくくなっている面があると考えられます。この結果、金/銀レシオは85倍台にまで上昇しています。これは1994年以来の水準です。この現象は、銀が金に対して相対的に弱いことを示していますが、株式市場が不安定であったり、景気が鈍化していたりするときに見られる傾向です。

したがって、現在の株価下落がさらに加速しているようであれば、レシオがさらに上昇し、銀相場の下げが顕著になるリスクがあります。まずは、株価が安定するかを確認し、そのうえで銀相場が直近高値の14.55ドルを上抜くかを確認したいところです。

そのうえで、14ドルから14.80ドルのレンジを上抜き、さらに重要なレジスタンスが控える15ドルちょうどの水準を超えることができれば、ようやく本格的な上昇相場に入ることができると考えます。

円建て銀相場は上昇しました。ドル建て銀相場が堅調に推移したことが押し上げにつながりました。しかし、週末にドル建て相場が下げており、54円でサポートされるかをまずは確認することになりそうです。

そのうえで、再び反発し、55円台を回復できるようであれば、その時点で買いを検討したいところです。目先は変動が大きくなりそうですので、慎重に対処することが肝要です。

【図表3】 シルバー 縦軸:円建てシルバー/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成