先週のゴールド:底値確認から反発

金相場は上昇しました。週初は、米連邦準備制度理事会(FRB)がタカ派的な姿勢を示したことや、欧州の政治的な不透明感を背景にドル指数が2017年6月以来の高水準を付けたことから売られました。

一時は1,195.90ドルと、10月11日以来の安値を付ける場面がありましたが、英国のEU離脱交渉を背景にしたドル高が一服したことが支援材料となりました。また、軟調な株価動向を背景に、金上場投資信託(ETF)に買いが入ったことも下値を支えました。

その後も上昇し、1週間ぶりの高値を付けました。英国のEU離脱協定案に関する混乱を受けた安全資産としての買いが入り、ドル高基調にもかかわらず堅調さを維持しました。週末にはさらに上昇し、1,225.29ドルの高値を付けました。米国株は上昇しましたが、FRB当局者が利上げ見通しについて慎重な発言をしたことを受けて、ドルがユーロに対して下落したことが買い材料視されました。

また、米国債利回りの低下も金相場を押し上げました。週間ベースでは1%超の上昇で、この5週間で最も高い上昇率となりました。世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールドトラストの保有高は11月9日の755.23トンから11月16日には759.68トンに増加しました。投資家の買いが戻っています。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX金先物市場での大口投機筋のポジションは11月13日時点で9,247枚の売り越しに転じました。前週からネットで2万8273枚の売りが出ました。買いポジションが725枚減少し、売りポジションが2万7548枚増加しました。

金相場が1,200ドルを目指して急落したことで、投機筋の売り姿勢が一気に強まりました。しかし、その後は週末に掛けて反発しており、相応の買い戻しが入っている可能性があります。

円建て金相場は続落しました。ドル建て相場が下落したことに加え、為替相場が円安になったことが上値を抑えました。

【図表1】先週のゴールド 縦軸:円建てゴールド/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券

今週のゴールド:反発を狙う展開

金相場は再び上値を試す展開になりそうです。先週はドル高基調が上値を抑えましたが、1,200ドル割れでは買いが入っています。株式市場が不安定でもあり、安値では買いが入りやすいようです。

また、米長期金利の低下を背景としたドル安も買いを誘っています。もっとも、投資家はリスク回避的に米国債を買っているものと思われ、金利低下は市場がリスクオフの状況にあることを示していると考えられます。

このような状況にあると判断する一部の投資家が、金ETFなどを通じて金を購入していると考えられます。もっとも、金相場はこの数カ月間、1,180ドルから1,240ドルのレンジを抜けていません。明確な方向性を確認するには、レンジを抜けるのを待つのが先決といえます。

ただし、1,240ドルのレンジ上限を上抜けると、1,300ドル前後まで一気に上昇する可能性がありそうです。その材料になりそうなのが、株式市場や米金利の動向といえます。

市場では、11月下旬に開催されるとみられる米中首脳会談で、米国の中国に対する制裁関税が緩和され、株価が反転するとの期待が高まっているようです。しかし、これが市場の期待を裏切る結果になれば、失望から株価が下落し、リスクオフの状況がより鮮明になる可能性があります。

会談の行方は予断を許さないことから、あらかじめ結果を予測したうえで対処することは避けるべきであると考えます。むしろ、リスク回避の動きが強まったときに備え、金を保有するという考え方のほうが理にかなっているといえます。このように、資産保全やリスクヘッジの観点で金に投資することもぜひ検討したいところです。

円建て金相場は節目の4,500円を割り込む場面がありましたが、週末時点ではこれを回復しています。反発基調に入れば、4,600円を試すものと思われます。為替相場が円高気味ですが、ドル建て金相場が上向けば、4,600円を超える可能性は十分にあると考えます。急騰する前に早めに買いを検討したいところです。

プラチナ:続落

プラチナは小幅続落しました。特段の材料がない中、一時820ドル割れ目前まで下げましたが、この水準ではサポートされ、安値からは反発しました。ただし、848ドルにあるレジスタンスを超えることはできませんでした。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するNYMEXプラチナ先物市場での大口投機筋のポジションは、11月13日時点で2万1991枚の買い越しとなり、ネットの買い越し幅が1,933枚減少しました。買いポジションが2,805枚減少し、売りポジションが872枚減少しました。

プラチナ相場が下落したことで、買いポジションの整理が進みました。ただし、週末にかけて反発したため、買い戻しが入っているかを確認したいところです。プラチナ相場は820ドルのサポートを反発しており、上向きやすい地合いにあります。

これで上値抵抗となっている848ドルを上抜けると、地合いが大きく好転する可能性がきわめて高いと思われます。上昇余地も大きいことから、まずはそのようなイメージをもって相場動向をみていきたいと考えます。

848ドルを超えると、直近高値の877ドルを目指す展開になるでしょう。さらに890ドルにあるレジスタンスを試すことになりそうです。もっとも、890ドルを超えると1,000ドルの大台を目指す動きになりそうです。

とはいえ、繰り返すように、ディーゼル車向けの需要減退懸念があるため、そこまでの強気相場に発展すると考えるのは楽観しすぎかもしれません。まずは相場がしっかりと上げていくのか、金相場の動向もあわせて見ていきたいところです。

円建てプラチナ相場は大きく下げました。円高が影響したといえます。ドル建てプラチナ相場に反発の機運が見られるため、円高基調を吸収して上げていけるかを確認することになります。3,200円を維持して再び3,300円を目指す展開になるかを確認し、そのうえで買いを検討したいところです。もっとも、3,200円をしっかりとサポートできれば、反発の可能性は高いといえそうです。

【図表2】プラチナ 縦軸:円建てプラチナ/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券

シルバー:底打ちから反発の展開

シルバーは反発しました。14日には一時13.85ドルまで下落する場面がありましたが、その後は反発しました。金相場が週末にかけて反発する動きを見せたことから、銀相場もそれにつれる形で上げました。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX銀先物市場での大口投機筋のポジションは、11月13日で1万7145枚の売り越しとなり、ネットの売り越し幅が1万4675枚拡大しました。買いポジションが1,501枚拡大しましたが、売りポジションが1万6176枚増加したことで、売り越し幅が急拡大しました。

しかし、週末にかけて大きく戻しており、投機筋がこの動きに対してどのような対応をしたのか、週末発表の最新データで確認したいところです。

銀相場は独自の材料がない中、株価や金相場の動向に左右される展開が続いています。先週はかなり弱い動きになる場面がありましたが、金相場の持ち直しで辛うじて支えられました。

これで14.45ドルを超えてくると、地合いは大きく好転すると考えられます。そうなると、投機筋の売りポジションの巻き戻しが相当量で入ることが想定され、これらの動きも相場を押し上げる力になりそうです。

トレンドが本格的に上向くには、少なくとも15ドル台の回復が不可欠ですが、金相場が1,240ドルを超えてくると、つれる形で大きく上昇するでしょう。その場合には、銀相場はやや投機的な上げとなり、想像以上に大きく上昇する可能性があります。

過去にもそのようなケースが何度もみられています。したがって、金相場が上昇に転じた場合には、銀市場への関心が高まる可能性がありますので、ぜひ注目しておきたいところです。

円建て銀相場は下落しました。円高が影響しました。まずは54円台を回復する動きを確認したいところです。ドル建て銀相場の上昇を確認したうえで、上値を試す展開になれば、買いを検討したいところです。55円台を回復すれば、買いを検討しやすいといえそうです。

【図表3】シルバー 縦軸:円建てシルバー/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券