先週のゴールド:軟調地合い

金相場は下落しました。11月6日投開票の米中間選挙を控えて警戒感が強かったことから、週初は高値圏で推移しました。しかし、米中間選挙の結果が市場の予想通りの結果に終わり、市場の不透明感が払しょくされたことで米国株が上昇し、金相場が下落基調となりました。

また、11月7日から2日間の日程で開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)で、連邦準備制度理事会(FRB)が予想通り政策金利の据え置きを決定し、年内に追加利上げを行うとの見方が強まったことでドル高が進んだことも、金相場の圧迫材料となりました。週末11月9日にはさらに下落基調が強まり、一時1,206ドルまで下げ、1ヶ月ぶりの安値を付けました。

また、原油相場の下落基調が継続する中、インフレ懸念が後退していることも圧迫要因になった可能性があります。世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールドトラストの保有高は11月2日の759.06トンから755.23トンに小幅減少しました。株価が戻したことで、これまでの買いの勢いが低下しています。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX金先物市場での大口投機筋のポジションは11月6日時点で1万9026枚の買い越しとなり、ネットの買い越し幅が5,832枚拡大しました。買いポジションが387枚増加し、売りポジションが5,445枚減少しました。相場が下げないことから、売り方の買い戻しが進んでいます。円建て金相場は反落しました。ドル建て相場が下落基調にあることから、上値を徐々に切り下げる展開となりました。

先週のゴールド 円建てゴールド/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成

今週のゴールド:下げ止まりから下値固めを確認

金相場は下値を探る展開が想定されます。米中間選挙やFOMCなどの重要イベントを通過したものの、ドル高基調が続いていることが、金相場を圧迫しています。

ドル高の背景は様々ですが、ひとつは米金利の上昇です。好調な景気を背景に、FRBが今後も継続的に政策金利を引き上げるとの見方から、市場金利が徐々に上昇しています。これがドル高につながっています。また、ドイツの国内政治の混乱やイタリアの財政問題でユーロが売られています。また、英国のEU離脱交渉が難航していることで、ポンドも軟調です。

このように、欧州通貨が対ドルで下落しており、結果としてドル高を誘発していることも、金相場の押し下げ要因になっています。また、投資家のリスク回避姿勢が維持されており、投資家は安全資産として再びドルを買い始めていることも、金相場の相対的な割高感につながっているといえます。

一時は金が安全資産として買われる動きも見られましたが、再び注目度が低下しています。このような状況に変化がなければ、金相場の上昇は見込みにくいといえます。もっとも、年末にかけて実需が増加しやすい季節であることは、金相場を支えるものと思われます。特に安値で買う傾向があるインドや中国などの宝飾品需要が増加しやすいといえます。

また、中銀の買いも継続していると考えられ、これらが金相場の下値を支えるでしょう。節目の1,200ドルを維持できるかが目先の注目点になります。まずはこの水準で下げ止まるか確認したいところです。

円建て金相場は節目の4,600円を超えられずに調整しています。為替相場は引き続き円安基調にあり、これが下値を支えるものと思われます。まずは4,500円で下げ止まるかを確認し、その上で買いを検討したいところです。一方で、4,600円を超えると上昇に弾みがつきそうです。

プラチナ:反落、自動車関連の材料に注目

プラチナは急反落しました。一時は880ドルを試す展開となりましたが、上値が重くなる中、金相場の下げなどもあり、上昇基調から一転して下落に転じまし、節目の850ドルをわずかに下回って週末の取引を終えました。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するNYMEXプラチナ先物市場での大口投機筋のポジションは、11月6日時点で2万3924枚の買い越しとなり、ネットの買い越し幅が9,201枚拡大しました。買いポジションが2,528枚増加し、売りポジションが6,673枚減少しました。

相場が上昇したことで、新規の買いが増える一方、これまで売り込んできた向きの買い戻しが急速に膨らんでいます。ただし、週末にかけて急落しており、再び投機筋の売りが増加している可能性があります。プラチナ相場は先週に830ドルを超えてから順調に上昇していましたが、上値を追いきれずに下げる動きになりました。値動きを見る限り、投機筋の買い戻しが主体だった可能性があります。

やはり、実需の回復がないと、相場は上昇しづらいといえます。最大の需要先であるディーゼル車の触媒向け需要の将来的な減退への懸念が上値を抑えているといえます。フォルクスワーゲン(VW)の高級車子会社アウディが発表した10月の世界販売台数は、前年同月比25.7%減の11万7600台ときわめて不振でした。

9月にEUで全面導入された国際統一燃費試験法(WLTP)への対応でもたつき、9月の22.0%減に続く大幅減となっています。欧州の販売は52.7%減の3万2150台で、地元のドイツや英国、スペインが50%以上の激減となり、フランスとイタリアも50%近く落ち込みました。

中国は5.4%増の5万6729台で、主要市場の中で唯一販売を伸ばしたが、中国市場は基本的にガソリン車が多く、触媒の原料にはパラジウムが使用されます。そのため、これらのデータは、プラチナ需要の低迷を想起させると考えられます。

また、1~10月累計の世界販売は前年同期比0.9%減の152万5300台で、通年でも前年比でマイナスに落ち込む可能性があります。このように、世界的な自動車販売の低迷は、プラチナ需要の後退だけでなく、世界の景気後退の可能性があることを示唆しているようにも見えます。今後も自動車産業の動向には注意が必要といえます。

プラチナ相場は節目の850ドルを早期に回復できれば、再び上値を試す可能性が残るでしょう。しかし、840ドルを割り込むと、820ドル程度までの下げとなり、ここを維持できるかを確認することになるでしょう。まずは底値を確認したうえで、反発を待ちたいところです。

円建てプラチナ相場も反落しました。節目の3,300円を超える場面もありましたが、これを維持できずに反落しました。そのため、まずは3,200円で下げ止まるかを確認することになります。そのうえで、買いを検討したいところです。

【図表2】 プラチナ 円建てプラチナ/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成

シルバー:反落、株価動向に注意

シルバーは反落しました。上値の重い展開が続く中、金相場が週末に急落したことから、つれる形で下落し、14ドル割れ目前まで急落するなど、9月以来の安値を付けました。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX銀先物市場での大口投機筋のポジションは、11月6日で2,470枚の売り越しとなり、ネットの売り越し幅が6,000枚縮小しました。買いポジションが2,936枚減少しましたが、売りポジションが8,936枚減少しました。銀相場の上昇を機に買いポジションを減らす一方、相場が下げなくなってきたことから、売りポジションの買い戻しも進みました。

しかし、週後半は急激に下げており、投機筋の売り姿勢が再び強まった可能性があります。金相場が低迷し、銀相場もつれる形で節目の14ドルを割り込むようだと、さらに地合いが悪化する可能性があります。

9月11日には13.9ドルまで下げる場面がありましたが、これを下回るようだと、2015年12月につけた13.6ドルをめざす展開になります。これを下回ると、2008年の金融危機後の反発局面の水準にまで下げることになります。したがって、現状の水準で下げ止まるかは、今後の相場展開を占ううえできわめて重要であるといえます。

銀は工業用需要がメインであり、株価の下落などに敏感に反応しやすい面があります。そのため、株価と金/銀レシオは逆相関にあり、株価が下落すると金/銀レシオは上昇しやすくなり、銀は金に対して相対的に弱い動きになりやすいといえます。したがって、銀相場が反発すれば、株式市場も上昇に転じていることになります。株価の動きにも注目しながら、銀相場を見ていきたいところです。

円建て銀相場も急落しました。節目の56円を超えられずに下げています。まずは54円で下げ止まるかを確認したいところです。そのうえで反転すれば、買いを検討しやすいといえるでしょう。

【図表3】 シルバー 円建てシルバー/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作