真に株式市場が堅調なら米国債利回りは上昇する

米国株は戻り歩調を強めています。原稿執筆時点で米中間選挙の結果は全くわからない状況ですが、今後の米国株を見ていくうえでのポイントを挙げておきたいと思います。

株価形成の根幹である企業業績ですが、トムソン・ロイターのファイナンシャル&リスク部門であるリフィニティブによると、S&P500採用企業の2018年第3四半期の増益率は、堅調な数字となった第1四半期や第2四半期を上回り、2010年以来の高水準を記録する見通しです。

既に決算を発表した381社の実績と残りの企業の予想を元にすると、第3四半期の増益率は27.4%が見込まれています。この増益率は、10月1日時点のアナリスト予想の21.6%や、第1四半期実績の26.6%、第2四半期実績の24.9%を上回り、37.2%を記録した10年第4四半期以来の高水準となる見通しです。

リフィニティブのデータによると、来年の利益の伸びは9%に鈍化すると予想されています。ただし、今年全体では23.9%の増益見込みとなっています。このように、米国企業の業績はきわめて堅調です。これらは、昨年末に議会で承認された大型減税が今年の堅調な企業収益に一部寄与したことが挙げられるでしょう。このようなトランプ政権の政策が株価を押し上げているわけです。

ただし、市場では関税の引き上げやコスト高が来年の利益の伸びを圧迫するとの懸念が高まっており、これが直近の株価下落につながっているといえます。また、米長期金利の上昇が株価を抑制したとの見方もあります。

これも株価下落の背景の一部とは思いますが、米国債利回りは市場が騒ぐほどは上昇していません。むしろ、かなり抑制的です。これは、投資家が高い利回りを求めて米国債を購入しているからであり、一部には株式市場に不安を持つ投資家の安全資産としての買いが入っていることも国債利回りの抑制につながっているといえます。

本来、真に株式市場が堅調であれば、金利は上昇しますが、そうなっていないところに市場の不安心理が見え隠れします。そう考えると、株安の背景には、やはり米中貿易戦争が背景にあることは明白でしょう。したがって、11月末に予定されているとされる米中首脳会談で関税問題に関して議論され、市場に安心感を与えるような結果が出ることが、株価反転には不可欠といえるでしょう。

 

最終的にはトランプ政権の政策に株価はついていく

これまで強気な姿勢を貫いてきたトランプ大統領の強い後ろ盾が株高でした。したがって、最近の株価動向を考慮すれば、自らが仕掛けた貿易戦争による米国経済の先行き不安を払拭するためにも、サプライズ的な演出により、株価水準の回復を図ることになるでしょう。

今の市場はかなりの部分が政治で動いています。欧州を見渡すと、ユーロやポンドが下落していますが、これはイタリア財政問題、ドイツの政局不安、英国のEU離脱交渉の不透明感が背景にあります。ドルの上昇はその裏返しであり、安全資産として買われていることが背景にあります。

これまでの米国株高も、トランプ政権の政策が背景にあります。今の市場動向を分析する際に、国際政治の動きを読むことがきわめて重要になっています。株価の変動は政策の結果であり、その株価動向を先読みするには、これまで以上に国際政治やトランプ政権の思考経路を理解することが肝要です。

【図表1】 米大統領任期4年間の主要株価指数の推移
出所:各種資料からエモリキャピタルマネジメント(株)が作成

米中間選挙後に市場は変動する可能性がありますが、最終的にはトランプ政権の政策の方向性に株価はついていくことになります。大統領3年目の米国株はきわめて堅調に推移しやすいことから、株価水準の回復の可能性を念頭に入れながら、政策の方向性と併せて株価動向を見極めたいところです。