先週のゴールド:高値圏を維持

金相場は小幅下落しました。週初はドル高に圧迫されました。ただし、株安基調は続いており、安全資産としての買いが入ったことで下値も堅い展開でした。その後は米中貿易摩擦の激化への懸念が緩和し、株価が上昇したことにより安全資産としての買いが減退したことで続落しました。

さらにドル指数が16ヶ月ぶりの高値まで上昇したことや、株価の反発もあり、一時10月18日以来の安値となる1,219.37ドルをつけました。ただし、月間ベースでは10月は1.7%上昇と、年初来で最も高水準でした。これまで堅調だった株価が不安定化したことで、金に安全資産としての買いが入り始めたことが反転につながりました。

この結果、1996年8月から97年1月の期間以降で最長だった6ヶ月連続の下落はようやく終了しました。その後はドルの急落が材料視され、1日には1.9%上昇し、10月26日以来の高値となる1,237.39ドルを付けました。米国株が回復基調にある中、安全資産としての買いが入りづらい状況でしたが、この日はドル相場の急落が材料視されました。

週末2日には米雇用統計が力強い内容だったことでドルが上昇し、金相場は反落しました。10月の雇用統計では、失業率が3.7%と前月から横ばいでしたが、非農業部門の就業者数が前月比25万人増と、好調の目安とされる20万人を2ヶ月ぶりに上回りました。また、物価上昇の先行指標として注目される平均時給は27.30ドルと、前年同月比3.1%増と、2009年4月の3.4%以来の大きさでした。これらを受けて、金相場は1,232ドルで引けました。

世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールドトラストの保有高は10月26日の749.64トンから11月2日には759.06トンに増加しました。安全資産としての買いが引き続き入っており、1日には760.82トンにまで増加しました。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX金先物市場での大口投機筋のポジションは10月30日時点で1万3194枚の買い越しとなり、ネットで1万6194枚の売りが入りました。買いポジションが2万3824枚減少し、売りポジションが7,630枚減少しました。金相場が1,240ドルの節目を超えられなかったことで、買いポジションに大量の売りが出ました。

一方で、戻り基調で買戻しの機会を失った向きが、小幅に下げたところを逃さずに買戻しを入れたことがうかがえます。円建て金相場は続伸しました。為替相場が円安に転じたことが押し上げにつながりました。

縦軸:円建てゴールド/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券

今週のゴールド:重要な節目に

金相場は堅調地合いが続くと考えます。これまで超えられなかった1,240ドルを超えると、投機筋の買戻しが誘発され、基調は大きく変わる可能性があります。この2週間、この水準を超えられませんでしたが、今週はきわめて重要な節目にあると考えます。

今年の5月以降、米国株が上昇する中、金相場は節目の1,300ドルを割り込み、それ以降は下落基調が続いていましたが、1,170ドル前後で下げ渋り、底値を形成した後は徐々に水準を切り上げてきています。

金利上昇による保有コストの増大を嫌気する声がありますが、一方で不安定な株式市場を背景に、投資家は徐々に買い始めています。米国の雇用情勢が堅調だったことで、米連邦準備制度理事会(FRB)は今後も利上げを継続する可能性が高いものの、あと1%程度で終了する可能性が高く、金利上昇も最終局面にあります。

そのため、金利上昇を織り込む一方、株価が反転・上昇に転じた場合でも、金相場への関心は高い状態が続くものと思われます。これまでの欧州通貨の下落を背景としたドル高基調が修正されれば、ドル建てで取引される金相場は上げやすくなると考えます。

また、インドでは婚礼シーズンや収穫後の収入増、宗教関係の祝祭などを背景とした実需の買いが入りやすい季節に入りました。クリスマスも控えており、宝飾品が1年で最も売れるため、金相場も統計的にも上昇しやすい季節です。

一方、第3四半期の金需要は好調でした。特に新興国の宝飾品需要が堅調で、需要全体は前年同期比1%増の964トンでした。宝飾品需要は前年同期比6%増の535トンで、消費の過半を占めるインドと中国がともに前年比10%増となりました。

バーゲンハンターであるアジアの消費国での買いが増えています。ETFからの資金流出が顕著で、需要は103トン減少しましたが、各国中央銀行などの金購入量は148トンと、2015年10-12月期以来の増加となり、ロシアの保有量が初めて2,000トンを超えるなど、外貨準備に占める金の割合を増やす動きが加速しているといえます。

このように、需給面の後押しもあり、基調転換の可能性が高まっていることを理解しておきたいところです。円建て金相場は節目の4,500円を維持しています。為替が円安基調でもあり、ドル建て金相場が上昇すれば、4,600円を超えてさらに上値を試すでしょう。円建て金相場も重要な節目にきており、今後の動きに注目したいところです。

プラチナ:高値更新の動き

プラチナは急伸しました。週明けから徐々に下値を切り上げ、1日には7月中旬以降超えられなかった節目の850ドルを大きく上回り、一時872ドルまで上昇し、今年6月以来の高値を付けました。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するNYMEXプラチナ先物市場での大口投機筋のポジションは、10月30日時点で1万4723枚の買い越しとなり、ネットで買い越しが3,061枚増加しました。買いポジションが2,011枚増加し、売りポジションが1,050枚減少しました。週末にかけて上昇基調が鮮明になっていることから、投機筋の買戻しと新規買いが膨らんでいる可能性が高いと考えます。

節目の850ドルを超えたことで、相場に勢いがつき始めています。この基調が続けば、895ドル前後までの上昇が見込まれます。これまでは需要減退懸念を背景に、上値の重い展開が続いてきましたが、値動きが出てきたことで、投資家の買いが膨らむ可能性があります。

一方、需要面では、引き続き最大の需要先である自動車触媒向けの低迷の可能性が高いことが懸念されます。

ドイツ連邦自動車局(KBA)が発表した10月の新車登録台数は前年同月比7.4%減の25万2628台でした。国際統一燃費試験法(WLTP)への対応で一部メーカーは挽回しましたが、フォルクスワーゲン(VW)グループの出遅れが目立ちました。

ポルシェが74.2%、アウディが64.0%、VWが18.9%などと軒並み減少しました。これに対して、BMWは25.6%、メルセデス・ベンツは19.2%など、大きく回復しています。エンジン別では、ディーゼル車の販売が15.8%、ガソリン車が5.3%それぞれ減少する一方、ハイブリッド車(HV)は31.5%急増しました。ただし、HVのうちドイツのメーカーが力を入れるプラグインHVは30.8%落ち込んでいます。このような状況は今後も続くため、需要面の材料には引き続き注意が必要です。

とはいえ、目先は基調が上向きです。金相場が高値を更新すれば、この流れが続く可能性が高いと考えます。円建てプラチナ相場も急伸しました。これまで超えられなかった節目の3,200円を超え、3,300円をうかがう展開です。レンジの上限を超えてきたことで、新たなレンジに入った可能性があります。

3,200円まで押し目があれば買いを検討したいところです。また、3,300円を超えた場合には、その流れに乗る形で対処したいところです。これまでの低迷相場から脱却する可能性があります。収益機会を逃さないようにしたいところです。

縦軸円建てプラチナ/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成

シルバー:堅調な動きへ

シルバーは続伸しました。10月31日には一時14.2ドルまで下落するなど軟調な展開となりましたが、金相場が上昇した11月1日にはつれる形で値を上げ、8月以来の高値を更新しました。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX銀先物市場での大口投機筋のポジションは、10月30日で8,470枚の売り越しとなり、ネットの売り越しが3,291枚拡大しました。買いポジションが1,037枚増加しましたが、売りポジションが4,328枚減少したことで、ネット売り越しが拡大しました。

週初の軟調な展開の中、投機筋は売りポジションを積み上げました。しかし、週末にかけて銀相場が急伸しており、相応の買戻しが入っている可能性が高いと考えます。今後も続伸となり、14.9ドルを明確に超えるようだと、投機筋の買戻しが上昇を誘発し、15.2ドル程度まで値を戻す可能性があります。さらに上昇し、15.2ドルを明確に上回るようだと、15ドル台後半までの上昇も十分に見込まれます。

もっとも、銀相場自体の材料が不足していることや、株価の不安定さもあり、金/銀レシオは83倍に大きく上昇し、1995年以来の高水準にあります。過去35年の平均では65倍ですが、レシオが高いときには金融市場が不安定なときが多く、株式市場の動向を見極める上でも参考になります。

まずは銀相場が下値を固めて上昇に転じ、金相場との差が縮小するかを確認したいところです。15.2ドルを超えた場合には、16ドル水準を試す強い動きになると考えています。円建て銀相場も上昇しました。ドル建て銀相場が堅調さを維持し、ドル/円が上昇基調を維持できれば、節目の56円を超え、さらに上値を試すものと考えられます。そのような動きを想定したうえで、買いを検討したいところです。

縦軸:円建てシルバー/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成