先週のゴールド

金相場は上昇しました。週初は下落しました。中国の経済成長への懸念が拡大する中、世界的な株安が嫌気されたことでドルを安全資産として選好する動きが復活し、金相場は圧迫されました。また、イタリアの予算に関する混乱などでユーロが下落したことも圧迫要因となりました。

さらに、中国人民銀行(中央銀行)が10月7日に、資金調達費用の引き下げを狙い、銀行の預金準備率引き下げを発表したことで、世界最大の金消費国である中国の金需要への懸念が強まったことも下落につながりました。その後もドル高や米利上げ見通しを背景に、一時9月28日以来の安値となる1,183.04ドルを付けました。その後は反発しました。

世界の株価が急落し、ドルも下落する中、投資家が資金の安全な逃避先として金を選択しました。9月の米卸売物価指数(PPI)が上昇するなど、徐々にインフレの芽が出始めているとの見方も押し上げにつながりました。10月11日には前日比2%超の上昇となり、2カ月超ぶりの高値を付けました。世界的な株安を受けて、投資家は安全資産の買いを入れました。一時1,226.27ドルと7月31日以来の高値を付けました。この日の上昇率は、2016年6月以来の大きさでした。

10月12日はドル高や世界的な株価回復に圧迫されて反落しました。ただし、週間ベースでは1.3%高と、7週間ぶりの上げ幅となりました。世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールドトラストの保有高は10月5日の730.17トンから、10月12日には744.64トンに増加しました。株価の下落や金相場の急伸を受けて、ようやく投資家の売りが止まり、買いが入り始めています。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX金先物市場での大口投機筋のポジションは10月9日時点で38,175枚の売り越しとなり、前週からネットの売り越し幅が16,353枚増加しました。買いポジションが12,744枚減少し、売りポジションが3,609枚増加したことで、ネット売り越しがさらに拡大しました。

しかし、週末にかけて急伸しており、相当量の買い戻しは入っていると考えられ、週末発表のデータを確認したいところです。円建て金相場は小幅上昇しました。ドル/円相場は下落しましたが、ドル建て金相場の上昇が大ききかったことで週末にかけて上昇しました。

 

今週のゴールド

金相場はこれまで重かった1,200ドルを超えてました。当面はこの水準を維持し、さらに1,240ドルを超えるかに注目することになります。1,240ドルにはテクニカル上のきわめて重要なレジスタンスが位置しています。これを上抜けるかどうかで、今後の相場展開は大きく違ってきます。上抜けるには、さらなる買いを誘う材料が必要です。

今回の上昇は株安を背景とした安全資産としての買いが入ったことにあります。このような材料で上昇したのは、リーマンショック後から欧州債務危機の期間です。このときに金相場は2011年9月に1,920ドルの歴史的高値を付けています。その意味では、安全資産として買われるような株安や金融危機のような市場の混乱が起きれば、高値を更新する可能性はありそうです。しかし、それはあくまでネガティブな上昇です。

一方、株高の局面でも金相場が上昇していた時期もあります。米国株が2003年から2007年まで上昇した際には、上昇基調が続きました。金相場はその後も上昇し、リーマンショックでも下げは限定的となり、上記のような高値を付けたわけです。このように、金相場を長期的に見ると、明確な傾向がありません。その時々の材料は市場の金の扱い方によって、相場の方向性や水準は異なる傾向にあります。

しかし、今回は2015年末の1,050ドル水準や2016年末の1,125ドル水準を割り込まずに反発しました。この長期的な動きを見る限り、少なくとも底値は脱したように見えます。その意味では、上記の1,240ドルを超え、さらにこの2年間の高値水準である1,350ドルを超えると、そこでようやく高値を本格的に狙えるということになります。

そのような動きになるには、インフレ圧力が強まることが不可欠でしょう。9月の米消費者物価指数(CPI)が前年同月比2.3%と伸びが鈍化しており、これ自体は本来は金相場の下落要因です。市場は逆に理解していますが、本来金相場がポジティブな要因で上昇するには、インフレであることが不可欠です。もっとも、原油相場が高止まりしており、今後もインフレリスクは残るでしょう。名目金利である米長期債の上昇を超えるスピードでインフレリスが上昇し始めた場合には、金投資を検討すべきといえます。

一方、季節性に目を向けると、年末まではインドの婚礼シーズンや収穫後の収入増、宗教関係の祝祭などがあり、金がもっとも買われる時期になります。クリスマスも控えており、宝飾品が一年で最も売れる時期です。この時期に金相場は大きく上昇する傾向がきわめて顕著です。

金は「10月に買い、3月に売る」と収益が出やすい傾向が鮮明です。このような季節性がある点にも着目し、いまの相場の転換期をとらえることも検討したいところです。円建て金相場は高値を超えるかに注目したいところです。4,500円が現在の上値になっています。これを超えるには、円高傾向が強まることなく、ドル建て金相場が上昇することが必要です。

まずはドル建て金相場の上昇の可能性を見ながら、4,500円を超えるかに注目したいところです。超えた場合には、素直にその動きについていく形で買いを検討したいところです。相場の転換期にあると思われます。ぜひ注目しておきましょう。

プラチナ

プラチナは上昇しました。金相場の上昇につれる形で上値を試し、10月11日には843ドルまで上昇しました。下値を切り上げる動きにあり、徐々に地合いが変わってきた印象があります。世界最大のプラチナ生産国である南アフリカの通貨ランドが対ドルで上昇したことも、ドル建てプラチナ相場を支えた可能性があります。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するNYMEXプラチナ先物市場での大口投機筋のポジションは、10月9日時点で8,226枚の買い越しとなり、ネットで1,177枚の買いが入りました。買いポジションが69枚増加し、売りポジションが1,108枚減少したことで、ネットポジションの買い越し幅が拡大しました。

これで3週連続で買い越しとなり、これまでの投機筋の売り姿勢は止まったといえそうです。さらに、値動きを見る限り、底値が切り上がるなど、プラチナ相場の基調に徐々に変化の兆しも見えます。そのため、節目の850ドルを超えるとさらに地合いが好転し、上昇による利益を追求する投機筋の追随買いがさらに入る可能性がありそうです。その場合には、節目の900ドルをめざす展開になるものと思われます。より長期的に見れば、底打ちから反転に入ったばかりであり、今回の反発基調は当面続く可能性もありそうです。まずは金相場の動きを見つつ、値動きを確認したいところです。

一方、プラチナ需給を取り巻く環境には変化はないようです。欧州でのディーゼル車向け需要の伸び悩みは引き続き懸念材料です。その意味でも、需給動向に関する材料には常に注意が必要と考えます。円建てプラチナ相場はほぼ横ばいでした。週中に掛けて円高基調を背景に下落しましたが、その後はドル建てプラチナ相場の上昇を背景に大きく反発しました。

今後の上昇にはドル建てプラチナ相場の上昇が不可欠であり、為替動向とともに注目しておきたところです。現時点では3,200円が重要なレジスタンスになっています。これを超えると大きな上昇につながる可能性があります。そのため、まずは3,200円を超えるかを確認したいところです。そのうえで、超えた場合には、その流れに乗る形で買いを検討したいところです。いまは相場の転換期にあると考えられます。3,200円を超えた場合には大きな動きにつながる可能性がありますので、注目しておきたいところです。

シルバー

シルバーはほぼ横ばいとなりました。週中に掛けて下落する場面がありましたが、金相場の急伸を受けて反発し、安値更新は回避されました。CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX銀先物市場での大口投機筋のポジションは、10月9日で22,250枚の売り越しとなり、前週からネットの売り越し幅が4,752枚拡大しました。買いポジションが3,802枚減少し、売りポジションが950枚増加したことで、ネット売り越し幅が再び拡大しました。

しかし、週末に反発しており、買い戻しが入っている可能性があります。週末公表のデータで確認したいところです。金やプラチナに比べると、銀相場の反発はかなり鈍いといえます。これは銀独自の材料が不足していることがあります。以前であれば、金相場が急伸すれば、銀相場はそれ以上に上昇することが多かったのですが、最近では需給面での材料がほとんどないこともあり、投資家や投機家の注目度が大きく低下しているようです。

このような状況では、金やプラチナのような上昇は見込みづらいとの発想になりますが、いったん上がりだすと投機筋は買い戻しを余儀なくされるなど、相場の押し上げにつながる材料はあります。したがって、まずはそのような動きになるか

を確認することになります。現在は14.60ドルにレジスタンスがあります。これを超えると、多くの投機筋は買い戻しを入れてくるものと思われます。

そうなれば、15.30ドル近辺までの上昇につながる可能性は十分にあると考えられます。銀相場はいったん動き出すと、比較的短期間で大きく変動する傾向があります。金相場の動向を見ながら、そのような動きになるかを待ちたいところです。

円建て銀相場は下落しました。ドル建て銀相場が横ばいとなりましたが、為替相場が円高基調に転じたことで下げています。ただし、54円割れから回復しており、反発の可能性が出てきました。まずは55円を超えるのを確認したうえで、買いを検討したいところです。そのうえで、56円を超えた場合にはさらに上昇に勢いがつきそうです。その場合には、買い増しを検討したいところです。金やプラチナは相場の転換期にあります。同様に銀相場にも注目しておきたいところです。