米国株式市場はこの2週間で様相が一変しました。米国株は主要指数が軒並み急落し、これまでの上昇基調の継続が危ぶまれるところまで売り込まれました。下落の理由や背景については、様々な解説がなされています。米金利の上昇がもっとも影響が大きかったように思われますが、金利上昇は本来、景気の好調さを示すものです。

さらに、上昇ペースもそれほど早かったわけではありません。市場の理解不足が株安を誘った可能性が高いと考えています。また、下げを加速させた背景には、いわゆる「リスクパリティ戦略」の存在も指摘されています。

株価が下落する際には、市場ボラティリティが高まることになります。そのボラティリティが高まった資産クラスのポートフォリオを機械的に調整する、つまり手仕舞い売りを行うのがこの戦略の基本的な考え方です。

したがって、今回のように下落スピードが速くなり、市場ボラティリティが急伸すると、リスク回避のための手仕舞い売りが出ることで、さらに下げが加速することになります。これが短期間で繰り返されたことが、株価急落につながった可能性が指摘されています。

しかし、これらの行為は、本来は株価の価値には何も関係のないものです。むしろ、米国主要企業の第3四半期(7月-9月)の決算は軒並み好調で、おおむね2割増益が予想されています。株価の下落はむしろ、株価の割安感につながるだけです。このような状況で、投資家がどのような行動に出るかに注目しています。

今回の下落が、市場ボラティリティの急伸が加速させたとすれば、そのボラティリティについてよく見ておくことが必要になります。

恐怖指数と呼ばれる「VIX」は、今回の株価急落で一時、28.84まで上昇しました。今年2月の株価急落時には50.30まで上昇しましたので、それに比べるとまだ小さいといえます。もっとも、VIXが20を超えているうちは、市場が不安定なままでしょう。10月16日時点では17.62まで低下していますが、予断を許さない状況にあるといえます。さらに市場が安定し、投資家が再び買いを検討するようになるまでは、15を割り込むことが必要です。

2月の急落時には、15を割り込むのに3カ月かかっています。そのような状況になるまでは、株価の本格的な上昇が見込みづらいともいえます。しかし、これらはあくまで市場心理を反映したものであり、企業価値とは関係のない話です。警戒は必要ですが、企業価値が低下するような具体的な事象がない限り、過度な懸念は禁物でしょう。

今回の株価急落局面では、ナスダック指数も大きく下落しました。これまでの米国株の上昇をけん引してきたのは、言うまでもなくハイテク株です。そのハイテク株が崩れると、ナスダック指数も大きく下げることになります。

さて、そのナスダック指数に関して、10月の株価変動についての興味深いデータがあります。ナスダック指数が10月に入ってから6営業日までに1%以上株価が下げたケースは1980年以降で11回ありましたが、リーマンショックのときを除いて、すべてのケースで月末までに反発しています。平均上昇率は6.57%に達しています。

今回も1%以上下落していますので、このケースに相当するわけですが、過去の平均上昇率に当てはめると、ナスダック指数は月末までに過去最高値を更新することになります。

ただし、チャートを見る限り、今回のケースはあまり強い戻りが期待できないかもしれません。予断を持たずに、値を戻すかに注目したいと思います。VIXが落ち着いてくれば、今回も大きなリバウンドとなる可能性は十分にあると考えています。

 

【図表1】 ナスダック指数の推移
出所:各種資料からエモリキャピタルマネジメント(株)が作成