先週のゴールド


金相場は上昇しました。週初は下落しました。北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉で米国とカナダが合意したのを受けて、リスク選好ムードが高まったことが売りにつながりました。また、世界的な貿易戦争や米国経済成長に伴うドル高が重石になりました。その後は上昇に転じました。1週間超ぶりの高値を付け、1,200ドルの大台を回復しました。

イタリアの有力議員による反ユーロ的な発言を受けた株安を背景に、ユーロは売られ、ドルが買われましたが、金は安全資産として買われました。10月2日の上昇率は1.3%高と、1日当たりの上昇率としては8月24日以来の大きさとなりました。イタリアの連立政権を構成する極右政党「同盟」の有力議員であるクラウディオ・ボルギ氏が、同国の大半の問題は自国通貨を持つことで解決される可能性があると発言し、欧州の資産は軒並み値を下げたことで、安全資産として金が買われた可能性が指摘されました。

その後はきわめて狭い値幅で上下動を繰り返しました。イタリア政府が財政赤字や債務の削減に柔軟な姿勢を示したことで、投資家の不安が和らいだ場面では売りが出ました。ドル高や強い米国経済指標、米国株高、米長期金利の上昇も下押し要因となりました。

一方、良好な米経済指標や金融引き締めが一段と進むとの見通しから株価が下落した場面では、安全資産としての金買いが入りました。米国債利回りを背景とする株安を受けて、一部の投資家が資金を金に避難させる動きに出たもようです。週末には小幅に上昇しました。9月の米雇用統計が予想より弱かったとの見方からドル安が進行し、さらに株安となったことで資金の安全な逃避先として金の魅力が高まりました。週間ベースでは0.9%高となり、8月24日の週以来の上げ幅となりました。

世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールドトラストの保有高は9月29日の742.23トンから、10月5日時点では730.17トンと、前週末から減少しました。再び減少傾向に入っており、投資家の売り姿勢が復活しています。CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX金先物市場での大口投機筋のポジションは10月2日時点で21,822枚の売り越しとなり、前週からネットの売り越し幅が4,174枚増加しました。買いポジションが450枚減少し、売りポジションが3,724枚増加したことで、ネット売り越しがさらに拡大しました。

しかし、週末にかけて小幅に上昇しており、売り越し幅が減少しているかを確認したいところです。円建て金相場は上昇しました。ドル建て金相場が底堅く推移したこととドル/円相場が円安方向で推移したことが上昇につながりました。

 
 

今週のゴールド

金相場は安値圏でのもみ合いの中、徐々に下値を固める動きに入ると考えます。投資家はこれまでの米中貿易戦争の懸念などに対して、安全資産として金を買うよりも、むしろ米国債やドルを選好して買ってきました。しかし、金利上昇で米国債への投資がしづらくなる中、一方で株安を背景に今度は安全資産として金を買う動きを強めています。

そのときどきで市場は都合よく解釈し、投資判断を行っているようです。もっとも、金利上昇は利子のつかない金には不利な状況です。その中で上げていくには、インフレ率の上昇が不可欠になります。今後の金相場の上昇には、安全資産としての買いではなく、インフレヘッジとしての買いが入ることが肝要です。これが長期的な上昇につながると考えます。

一方、需給関係にも注目したいところです。インドの金市場関係者は、第4四半期の金輸入は増加する可能性があるとしています。株式市場と通貨ルピーが下落し、投資家が代替投資先を模索する一方、祝祭シーズンを背景に金の需要が高まるとみているようです。ただし、インドルピーは10月3日に過去最安値を更新しており、輸入コストの上昇の影響が懸念されています。調査会社GFMSによると、17年第4四半期のインドの金輸入は229.6トンでした。これからどの程度、金需要が伸びるかに注目しておきたいと思います。

また、中国は国慶節に入っています。金需要が高まりやすい時期でもあり、これも金相場を支えるかに注目したいところです。世界の二大金需要国の需要は、第4四半期に高まりやすい傾向が鮮明です。これを受けて、金相場も過去の動きを見ると、第4四半期に上昇しやすくなっていることがわかります。今年は金利上昇などで金相場の低迷が続きました。投機筋は先物市場で売り姿勢と強め、投資家も保有する金ETFの売却を継続してきました。

しかし、これらの動きが反転すると、第4四半期に大きく値を戻す可能性は十分にあると考えられます。イタリアの財政問題や英国のEU離脱交渉の不調など、欧州通貨の下落リスクはありますが、これがむしろ安全資産としての金の魅力を高めることで買戻しを誘う可能性があると考えられます。このような背景でドル建て金相場は1,200ドルを維持し続けると、いずれ大きく上昇に向かう可能性があります。

その場合には、1,240ドルを目指す展開になりそうです。円建て金相場は堅調に推移すると考えます。節目の4,500円を超えると大きく上昇しそうです。そのような動きになれば、上昇を追いかけるように買いを検討したいところです。また、押し目が来た場合でも、4,450円程度で下げ止まれば、格好の押し目買いの機会になると考えます。

プラチナ

プラチナは上昇しました。金相場が堅調に推移したことや、安値圏からの順調な回復を背景に、徐々に下値を切り上げる動きとなりました。世界最大のプラチナ生産国である南アフリカの通貨ランドは対ドルで下落基調が続きましたが、材料視されませんでした。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するNYMEXプラチナ先物市場での大口投機筋のポジションは、10月2日時点で7,049枚の買い越しとなり、ネットで4,359枚の買いが入りました。買いポジションが1,842枚増加し、売りポジションが2,517枚減少したことで、ネットポジションの買い越し幅が拡大しました。プラチナ相場は依然として明確な動きは見られませんが、売り一辺倒で下落する流れはいったん止まったように見えます。もっとも、上値を買い上げる動きにも乏しく、今後も不安な動きが続く可能性があります。

ただし、目先は810ドル前後を維持できれば上値を試し、節目の850ドルを試す可能性は十分にあると考えます。とはいえ、引き続き実需面での不安感が上値を抑える可能性があります。ドイツ連邦自動車局(KBA)が発表した乗用車統計によると、9月の新車登録台数は20万134台となり、前年同月比30.5%減少しました。EUで9月に発効した国際統一燃費試験法(WLTP)による認可を取得した新車が不足したもようです。特にディーゼル車が43.8%落ち込み、全体に占める比率は29.3%に低下しました。ガソリン車の販売も25.2%減少しました。

一方、ハイブリッド車(HV)は15.9%増加。ただし、このうちプラグインハイブリッド車(PHV)に限っては24.2%減少しており、特にドイツメーカーが環境車として力を入れるPHVの苦戦が浮き彫りとなっているもようです。一方、ドイツ自動車工業会(VDA)が公表した乗用車の暫定統計によると、9月の生産台数は前年同月比24%減の401,800台となり、前月に続いて不振でした。

EUで施行したWLTPへの切り替えが影響した上、労働日数が前年より1日少なかったことも影響しました。輸出台数も21%減の32万400台にとどまっています。一方、ドイツ政府は、旧式ディーゼル車の下取り補助による買い替え促進などを含む新たな排ガス対策を発表しました。対象は大気汚染が特に深刻な国内14都市圏の旧式ディーゼル車で、140万台に上ります。

ドイツでは、フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正以降、ディーゼル車への逆風が強まる一方で、ハンブルクが中心部での乗り入れ禁止措置を5月末に導入しました。他の都市にも同様の規制が広がる動きがあり、政府が自動車業界に対応を求める形で協議が続けられてきた経緯があります。

一方で、買い替え促進策は各メーカーの責任で実施し、政府は助成しないことから、ショイヤー運輸相は会見で、対象車の保有者が買い替えを望まない場合は、メーカーの負担で排ガス抑制機能強化のための機器改修も選択できると説明しています。ただし、各メーカーは改修に難色を示しており、対策が進むか不透明な部分が残ります。

一方、デンマーク政府は、ガソリンとディーゼルを燃料にした新型車の販売を30年から禁止することを提案しています。35年からはハイブリッド車(HV)の販売も禁止するといいます。

英国とフランスは、ガソリンとディーゼルの新車販売を40年から禁止する方針を既に示しています。新車販売全体に占める電気自動車の割合は、スウェーデンで7%超え、ノルウェー(HV含む)では5割を超えています。パリ、マドリード、メキシコ、アテネ各都市の市長は25年までに市の中心部からディーゼル車を排除する方針を表明しています。

このように、自動車の環境問題はますますプラチナ需給にとってネガティブに作用しやすい状況にあります。これらの材料を無視することはできず、今後もこれらの報道を注視しながら対応することになるでしょう。

円建てプラチナ相場は上昇しました。ドル建てプラチナ相場の上昇と円安基調がサポートしました。ただし、節目の3,200円を超えられなかったことから、目先は3,100円とのレンジ相場になる可能性があります。まずは下値を固めることができるかを確認したうえで、買いを検討したいところです。3,200円を超えると、買いを検討する際により安心感があるといえます。

 

シルバー

シルバーは小幅に下落しました。金相場は上昇しましたが、銀相場は上値を試す動きにはなりませんでした。CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX銀先物市場での大口投機筋のポジションは、10月2日で17,498枚の売り越しとなり、前週からネットの売り越し幅が5,757枚縮小しました。

買いポジションが3,261枚減少しましたが、売りポジションが9,018枚減少したことで、ネット売り越し幅が縮小しました。これは前週と同じパターンであるといえます。反発基調が続いていましたが、14.70ドル前後にあるチャート上のポイントを超えることができなかったことで、上値が徐々に切り下がる展開にあります。

金相場の上値の重さが意識されるようだと、調整基調が続く可能性があります。まずは14.30ドルをしっかりと維持できるかを確認したいところです。そのうえで、14.70ドルを明確に超えることができれば、基調は上向きやすくなります。その場合には、15.45ドル前後までの上昇となる可能性は十分にあるでしょう。逆に14.30ドルを割り込むようであれば、再び軟調地合いに転換することになります。

銀相場は明確な独自材料に乏しいことから、14ドルを割り込むと底抜け状態になる可能性もあります。金相場の動き次第では、上下どちらの可能性もあるだけに、予断を持たずにみていくことが肝要です。そのうえで、テクニカル的な調整がどこで終了するかを確認したいところです。

円建て銀相場は上昇しました。ドル建て銀相場の下落に対して、為替相場が円安基調だったことから上昇しました。54円を固めて56円超えまで上昇しましたが、その後は55円台に下げています。まずはこの水準を維持し、さらに上昇に向かう動きに転じるかを確認したいところです。そのうえで、買いを検討したいところです。