先週のゴールド

  

金相場は安値圏でのもみ合いの動きとなりました。
二大消費国の中国とインドの通貨に対してドルが堅調さを維持したことから、需要減退懸念が強まり、これが上値を抑えました。トランプ大統領がドル高は経済に悪影響を及ぼすと発言したものの、ドルが堅調さを維持したことがドル建て金相場の重石になりました。一方、イランのロウハニ大統領が、米国の対イラン敵視政策を「あらゆる戦争の母」と批判したことに対して、トランプ氏はツイッターで「絶対に、永久に、再び米国を脅迫するな」と応戦したことで、地政学的リスクが高まったものの、安全な資産の逃避先とされる金への買いは膨らみませんでした。その後はドルが下落したことで小幅上昇しました。米国とEUの関税に関する協議を受けて、欧州にメリットがあるとの判断からユーロが買い戻されたことでドルが下落し、これが金相場を押し上げました。EU欧州委員会のユンケル委員長は25日、ワシントンでトランプ大統領と貿易摩擦に関して協議しました。米国はEUに対して、鉄鋼・アルミニウムの輸入制限措置を発動していますが、これらの問題について徐々に緩和される可能性があとの見方がドルの下落につながりました。その後は下落しました。ドルが上昇したことや、米国がEU産の自動車に対する関税導入を先送りしたことが材料視されました。米欧は関税障壁の撤廃を目指した貿易対話を開始することで合意しました。週末はドル安を受けて小幅上昇しました。米国の国内総生産(GDP)統計は強い内容でしたが、米欧貿易摩擦が懸念されたとの指摘が聞かれました。4-6月期の米GDP速報値は前期比で年率4.1%増と、市場予想と一致しましたが、ドルは下落しました。この日は株価が下げたことから、米国債への逃避買いが見られたことで利回りが低下しており、これが金の支援材料だったと考えられます。
週間ベースでは3週連続の下落となりました。現物市場では、インドの金需要が国内金価格の下落を受けて改善したとされています。ただし、世界最大の金需要国である中国では、人民元安により引き続き需要は弱い状況にあります。
世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールド・シェアの保有高は7月20日の798.13トンから800.20トンに増加しました。23日には802.55トンに増加する場面もありました。6月以降は減少傾向が続き、7月に入ってからも投資家の金離れの動きが続きましたが、少しとはいえ減少傾向に歯止めが掛かりつつあるように見えます。
CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX金先物市場での大口投機筋のポジションは7月24日時点で4万8,597枚の買い越しとなり、前週から9,244枚減少しました。買いポジションが2,193枚増加する一方、売りポジションが1万1,437枚増加したことで、ネットの買い越し幅が減少しました。これは先週と同じパターンであり、安値とみた向きが買う一方、新規の売りを積み上げている投機家もいることがわかります。
円建て金相場も続落し、直近安値を更新しました。前週同様にドル建て金相場の下落に加え、ドル円が下落に転じたことが影響しました。

  

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縦軸:円建てゴールド/グラム(単位:円)

出所:マネックス証券

 

今週のゴールド

 

金相場は安値圏でのもみ合いの状況にあります。これから徐々に下値を固め、反発に向かうことができるかに注目することになります。金相場は4月半ばに1,365.23ドルの高値を付けて以降、米金利先高観を背景としたドル高傾向を背景に10%以上下落しています。1年ぶりの安値まで下落するなど、金相場の底打ちが依然として確認できない状況にあります。ただし、安値圏でのもみ合いの状況が続くことで、徐々に下値固めに入っているようにもみえます。ただししかし、大きく上昇するには材料が不足しており、時間がかかるものと思われます。また、国際情勢の不透明感に対しても、安全資産としての買いが入らないなど、これまでの金市場の動向とはやや異なるパターンも見られます。このような状況を背景に、ロイター調査によると、市場関係者は今年と来年の価格見通しを下方修正しています。ただし、回答者はいまだに1,300ドルまで値を戻すと予想しているもようです。その背景に、投機筋のCOMEX先物市場における売りポジションが2016年1月以降で最大に膨らんでいることがあります。これらの売りポジションに対して買い戻しが入れば、上昇に転じるとみている市場関係者は少なくないようです。現在のところ、金相場は2017年7月の安値1,204.90ドルなど1,200-1,220ドルの水準でサポートされており、今回もそのような動きになる可能性があるとみている市場関係者は多いといえます。さらにいまはインフレ圧力もほとんど材料視されていません。しかし、過去の金相場と米消費者物価指数(CPI)の動向を調べると、きわめて興味深い事実が浮かび上がってきます。米CPIが前年比2.1%以上で推移した場合、1年後には7.3%、2年後には16.7%上昇しています。さらに、3%を超えた場合には、1年後に11.1%、2年後に25.1%上昇しています。現在の米CPIは2.9%であり、すでに高い水準にあります。3%を超えるようだと、金相場は上記のように高い上昇率を示現する可能性があります。市場はこのような過去の事実をほぼ無視して推移しているように見えます。今後の金相場と米CPIの関係に注目しておきたいところです。
当面は安値圏での推移が続くことになりそうですが、利上げを織り込む一方で、インフレ傾向に着目する動きが強まれば、徐々に金相場は本来あるべき水準に向かうと考えます。節目の1,200ドルを維持しながら、徐々に値を戻し、1,240ドルを回復すると、再び上昇に向かうと考えます。
円建て金相場も徐々に下値を固めるものと思われます。円高が上値を抑制する可能性がありますが、ドル建て金相場が下げ渋りから徐々に反発に向かうことで、下値を固めていくと考えます。とはいえ、いまは慌てずに、まずは4,400円割れを回避し、その後に4,500円を回復するのを確認した上で、買いを検討したいところです。

   

 

プラチナ

  

プラチナはわずかに下落しました。
週初は上昇に向かう場面もありましたが、週末にかけて金相場が下落したことから、つれる形で下げに転じました。世界最大のプラチナ生産国である南アフリカの通貨ランドは対ドルで上昇しましたが、プラチナ相場の押し上げにはつながりませんでした。
CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するNYMEXプラチナ先物市場での大口投機筋のポジションは、7月24時点で8,116枚の売り越しとなり、前週から1,528枚減少しました。買いポジションが1,309枚増加する一方、売りポジションが219枚減少したことで、ネットの売り越し幅が縮小しました。売り越し幅は1995年以降で最大の水準を維持していますが、新規買いが入っており、一部の投機筋は割安とみて買いを入れ始めている様子がうかがえます。現在のプラチナ相場の水準は、金融危機後の2008年12月以来の水準です。いかに大きく売り込まれているかがうかがえます。当時の安値は08年10月につけた732ドルでした。今月の安値は788ドルであり、あと50ドル程度の差でしかありません、それだけ売り込まれているといえます。現在のNYMEXプラチナ先物市場での投機筋の売り越し幅は過去最大級であり、大きく売り込んでいることは明白といえます。したがって、何かしらの材料で反転し始めると、大きく値を戻す可能性は常にあるといえます。そのきっかけが需給面であれば、その余地はさらに大きくなると考えられます。需要サイドの材料については、すでに繰り返すように、将来的なディーゼル車販売の減少見通しから大きき期待がしづらい状況です。一方、コモディティ価格が大きく値を上げるときには、常に供給サイドの材料はついてきます。現時点で主要生産国である南アフリカでの生産調整などの報道は聞かれていません。しかし、生産コストを勘案して生産者が減産するといった報道が出てくれば、相場の反転が想定されます。その場合には、投機筋は買戻しを余儀なくされ、短期間で価格が急騰する可能性も十分にあるといえます。いまはそのような動きになるかを注視しておきたいと考えます。目先は830ドルを超えると上昇しやすい地合いにあると考えられます。そのうえで、865ドルを超えると基調はさらに強まることが想定されます。
円建てプラチナ相場はほぼ横ばいでした。ドル建てプラチナ相場が一時的に上昇した際には同時に上昇しましたは、その後は下落したことや、為替相場が円高傾向で推移したことで下げました。節目の3,100円で踏みとどまることができれば、短期間で上向く可能性があると考えます。そのうえで、3,200円を超えていくと、上昇基調が強まりそうです。いまは買い下がるのではなく、まずは3,100円でのサポートを確認したところで、ゆっくりを買い始めるのが賢明であると考えます。

 

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縦軸:円建てプラチナ/グラム(単位:円)

出所:マネックス証券

 

  

 

シルバー

 

シルバーは小幅下落しました。金相場の動きにつれる形で一時上昇する場面もありましたが、その後は安値圏でのもみ合いとなり、上値の重い展開の中で方向感のない動きとなりました。ただし、直近安値の15.13ドルを割り込むような動きにはなりませんでした。
CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX銀先物市場での大口投機筋のポジションは、7月24日で3,538枚の買い越しとなり、前週から5,344枚減少しました。買いポジションが849枚増加する一方、売りポジションが6193枚増加したことで、ネットの買い越し幅が減少しました。安値では新規買いを入れる投機筋がいる一方で、新規売りを入れる向きが増えており、さらに価格が下落するとみていると投機筋が存在するといえます。先物市場における投機筋の行動は、基本的に価格が下落するとその流れに追随して売りを仕掛ける傾向があります。そして、下落トレンドが明確な形で反転するまで、売り姿勢を維持する傾向があります。そのため、現物市場において価格を下支えするような材料が出てこない限り、投機筋の売り姿勢は変わらない可能性があります。しかし、銀現物市場に大きな動きが出てくる可能性はそれほど大きいとは言えず、このような状況を考慮すれば、相場の反転には金相場の上昇が不可欠といえそうです。そのため、これまで通り金相場の動向に注目しながら、反転のタイミングを見極めたいと考えます。短期的には、15.70ドルを超えると上昇基調に転じると考えられます。そうなれば、節目の16ドル程度までの戻りは速いと考えます。
円建て銀相場は続落しました。ドル建て相場の下落と円高傾向が上値を抑えました。徐々に水準を切り下げる弱い展開であり、押し目買いは避けたいところです。まずは57円をサポートし、さらに58円を回復して値を固めるのを確認してから、買いを検討したいところです。いまは慎重に相場展開を見極めるべきであり、まずはドル建て銀相場の反転を確認したいところです。

 

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縦軸:円建てシルバー/グラム(単位:円)

出所:マネックス証