先週のゴールド

  

金相場は安値圏でのもみ合いの動きとなりました。

週初は横ばいで推移しました。主要中銀の政策発表を控える中、取引が手控えられました。その後は反発しました。米中貿易摩擦の緩和に向けて米国と中国が協議再開を模索しているとの報道を受けて、人民元が対ドルで値を上げたことが支援要因となりました。ただし、ドル高と米国の金利上昇を受けて、一時1214.40ドルまで下落し、1週間半ぶりの安値を付ける場面がありました。その後は下落しました。7月31日、8月1日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、市場の予想通り金利が据え置かれました。これにより、ドルが上昇したことで、金相場は軟調に推移しました。FOMCの声明を受けて、今後も四半期に一度の利上げが実施されるとの見方が強まったことも、安値水準での推移につながりました。また、トランプ政権が2,000億ドル相当の中国からの輸入製品に対する上乗せ関税を当初案の10%から25%に引き上げる計画との報道も売り材料視されました。最近は米中貿易戦争が安全資産としての金買いにつながらず、むしろ売り材料になっています。その後も下落しました。イングランド銀行(BOE)が政策金利を引き上げたものの、今後の利上げに慎重な姿勢を見せたため、ドルが上昇したことが圧迫しました。週末の3日は反発しました。一時は2017年3月15日以来となる1,204ドルまで下落しましたが、その後は1%高にまで切り返す展開となりました。米雇用統計が予想より弱い内容だったとの解釈でドルが下落したことが押し上げにつながりました。また、中国人民銀行(中央銀行)の措置が人民元相場を押し上げたことも金の上昇につながりました。7月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数の伸びの鈍化が予想よりも大きかったことを受けて、ドル指数は下落に転じました。それまでは、ドル指数が2週間ぶりの高値を付け、ドルは人民元に対して1年2ヶ月ぶりの高値をつけていました。人民銀が元の空売り抑制に向けた措置を講じたことを受けて、人民元のオフショア相場が下落基調から切り返しました。

世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールド・シェアの保有高は7月27日の800.20トンから8月3日には794.90トンに減少しました。再び800トンの大台を割り込んでおり、投資家の金離れは完全には止まっていないといえます。CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX金先物市場での大口投機筋のポジションは7月31日時点で3万5,337枚の買い越しとなり、前週から1万3,260枚減少しました。買いポジションが1万1,365枚減少する一方、売りポジションが1,895枚増加したことで、ネットの買い越し幅が減少しました。金相場のさらなる下落で、買いポジションを手仕舞いする売り一方、下落基調が継続すると判断した向きが売りポジションを積み上げています。典型的な弱いパターンにあるといえます。

円建て金相場も続落し、直近安値を更新しました。ドル建て金相場の下落に加え、ドル円の上値が重かったことが下げにつながりました。

  

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縦軸:円建てゴールド/グラム(単位:円)

出所:マネックス証券

 

今週のゴールド

 

金相場は安値圏でのもみ合い状況が続く可能性があります。いまは米中貿易問題の悪化が安全資産である金への投資を促す材料ではなく、むしろ逆に売り材料になっています。また、米連邦準備制度理事会(FRB)が今後も利上げを継続することで、金利が上昇するとの見方が金の上値を抑えています。さらに、中国人民銀行が元安政策をとっていたことで、人民元建て金価格が上昇し、中国の買いが細るとの観測も売りにつながった可能性があります。このように、市場ではあらゆる材料を金売りの理由にしており、投資家の買いが入りづらい状況にあります。一方、ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が発表した報告書では、今年上半期の世界需要が6%減少し、上期としては2009年以来の低水準となりました。WGCはドル高が続く限り、需要は低調な状態が続き、金相場は比較的小幅な値動きで推移すると予想しています。金需要の減少は。金を裏付けとする上場投資信託(ETF)による購入の急減が主因でした。1─6月の世界の金需要は1,962トンで、前年同期の2,086.5トンから減少し、上半期としては2009年以来の低水準でした。一方、第2四半期の金需要は4%減の964.3トンでした。ETFによる購入が46%減少し、投資向け購入全体も9%減少しました。また、中銀の購入が7%、インドの購入が2%、それぞれ減少しました。一方で、イタリアの選挙でのユーロ懐疑派の台頭や、ECBの政策への不透明感を受けて、欧州での需要は増加しました。中国では、米国との貿易摩擦激化や株安を背景に投資用需要が拡大しました。また、イランでは核合意からの米国の離脱を受けて延べ棒とコインの販売が202%急増しました。一方、宝飾用需要は減少しました。4─6月に金相場が5.4%下落したものの、主要消費国である中国、インド、トルコなどの通貨が下落し、現地通貨建て金価格が上昇したことが影響しました。ただし、WGCはインドの金需要は2018年下期に回復するとの見方を示しています。上期は6%減少しましたが、政府による農家の収入底上げ措置で農村部の需要拡大が見込まれるとしています。インドの農村部では、財産を宝飾品として蓄える伝統があり、国内の金需要の3分の2は農村部が占めています。WGCは、インド国内の穀物価格の引き上げと農家の債務免除措置が下期にインドの金需要を押し上げるとしています。4─6月のインドの金需要は、通貨ルピーの下落で国内価格が上昇したことから前年比8%減少し、187.2トンでした。ただし、WGCは18年のインドの金需要は700─800トンになるとの見通しを維持しています。昨年の需要は763.4トンでした。ちなみに、過去10年のインドの年間金需要は平均840トンです。

金相場は、投資家の考え方が変わるかにあると考えます。つまり、現在の利上げ継続やドル高見通しに変化が見られるかがポイントになると考えます。FRBは今後も利上げを継続する見通しですが、利上げはすでに最終局面にあります。FRBが指摘する中立金利は2.9%で、利上げ余地はあと1%です。現在の利上げペースが維持されるとすれば、利上げは来年6月にも終了する可能性があります。一方、欧州中央銀行(ECB)と日銀はまだ利上げを行っていません。この状況が続けば、最終的には今後利上げを行う国の通貨が買われる可能性が高いことから、今後はユーロ高・円高が進む可能性があります。この事態を避けるためには、米国との金利差がさらに拡大する前に、量的緩和の解除と利上げを行う必要があります。そのような見方が市場に広がれば、ドル高基調に変化が見られ、ドル建て金相場の反発につながる可能性があります。また、金市場はインフレ傾向はほとんど織り込んでいません。先週も解説したよう、過去の金相場と米消費者物価指数(CPI)の動向を調べると、米CPIが前年比2.1%以上で推移した場合、1年後には7.3%、2年後には16.7%上昇しています。さらに、3%を超えた場合には、1年後に11.1%、2年後に25.1%上昇しています。現在の米CPIは2.9%であり、過去データから見れば、金相場は今後大きく上昇する可能性が高いことになります。このように、市場がインフレ傾向に着目すれば、徐々に金相場は本来あるべき水準に向かうと考えます。節目の1,200ドルを維持しながら、徐々に値を戻し、1,230ドルを回復すれば、再び上昇に向かうと考えます。
円建て金相場も徐々に下値を固めるものと思われます。まずは4,400円を維持できるかを確認したいところです。そのうえで、4,500円への反発を睨んで、安値圏での買いを検討したいところです。

   

 

プラチナ

  

プラチナは小幅に反発しました。上値は重いものの、前週の安値を下回ることなく、横ばいでの推移となりました。世界最大のプラチナ生産国である南アフリカの通貨ランドは対ドルで下落しましたが、プラチナ相場への影響は限定的でした。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するNYMEXプラチナ先物市場での大口投機筋のポジションは、7月31時点で8,183枚の売り越しとなり、前週から売り越し幅が67枚拡大しました。買いポジションが253枚増加する一方、売りポジションが320枚増加したことで、ネットの売り越し幅が小幅に増加しました。売り越し幅は、1995年以降で最大の水準を自演として維持しています。投機筋の売り姿勢に変化はありません。一部の投機筋は割安とみて買いを入れ始めていますが、それが下値を辛うじて支えている状況です。長期的に見れば、相当の安値圏であることは間違いありません。現在のプラチナ相場の水準は、金融危機後の2008年12月以来の水準です。値ごろ感で買いが下値を支える動きになる一方、これまでの売り基調が変わってくれば、相応に値を戻す可能性があると考えます。繰り返すように、現在のNYMEXプラチナ先物市場での投機筋の売り越し幅は過去最大の水準です。したがって、反発し始めると、売り込んでいる投機筋が機械的に買い戻す可能性があります。そのような動きになるかを注視しておきたいと思います。ファンダメンタルズ面には大きな変化はありません。引き続き、将来的なディーゼル車販売の減少見通しが重石になる可能性があります。とはいえ、すぐに需要が減退するわけではありません。また、供給サイドにも注目しておきたいところです。主要生産国である南アフリカでは依然として生産調整が行われているとの報道はありません。しかし、生産者が採算を考慮して減産するといった報道が出てくれば、相場が反転する可能性が高まるでしょう。投機筋は買戻しを余儀なくされ、短期間で価格が急騰する可能性も十分にあるといえます。いまはそのような動きになるかを注視しておきたいと考えます。目先は860ドルを超えると基調が上向きやすいと考えます。

円建てプラチナ相場は上昇しました。ドル建てプラチナ相場が小幅に上昇したことで堅調に推移しました。節目の3,100円を回復していますが、これを維持できれば、基調が変わる可能性がありそうです。まずはそのような動きになるかを確認したいところです。そのうえで、3,200円を超えることができれば、基調は上向くと考えられます。まずは3,100円でのサポートを確認し、そのうえで少しずつゆっくりを買い始めるのが賢明であると考えます。

 

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縦軸:円建てプラチナ/グラム(単位:円)

出所:マネックス証券

 

  

 

シルバー

 

シルバーは小幅に下落しました。3日には15.21ドルまで下落しましたが、引けでは値を戻しました。週を通しておおむね横ばいでの推移となり、方向感のない展開でした。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX銀先物市場での大口投機筋のポジションは、7月31日で5,864枚の買い越しとなり、前週から2,326枚増加しました。買いポジションが1,591枚増加する一方、売りポジションが735枚減少したことで、ネットの買い越し幅が増加しました。徐々にではありますが、安値で新規買いを入れる投機筋が出始めています。また、前週と異なり、売りポジションを買い戻す動きもみられており、この傾向が続くかを注視したいところです。過去の投機筋の行動パターンからみれば、反転し始めると機械的に買い戻しが入り、基調が転換する可能性が高いと考えます。引き続き、金相場の動向を見ながら、そのような動きになるかを確認したいところです。目先は15.50ドルを超えると、基調が反転する可能性が高いと考えます。円建て銀相場は上昇しました。ドル建て銀相場は小幅に下げましたが、為替雄場がやや円安で推移したことが上昇につながりました。現時点では57円でサポートされる動きになっています。この水準を固めることができれば、徐々に上向く可能性が高まると考えます。そのうえで、58円を超えると上昇に弾みがつきそうです。ドル建て銀相場の反転を回復し、下値が固まるかを確認したうえで、慎重に徐々に買うことを検討したいところです。

 

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縦軸:円建てシルバー/グラム(単位:円)

出所:マネックス証券