先週のゴールド

  

金相場は引き続き安値圏でのもみ合いとなりました。

週初は下落しました。ドル高や米利上げ観測が重石となり、米国の対イラン制裁再発動を背景にした金への需要を相殺しました。また、COMEX金先物市場で、7月31日までの週の投機筋の売りポジションが1万3,931枚増加して4万1,087枚となり、データが公表されるようになった2006年以来で過去最高水準となっていることも売り材料視されたもようです。一方、米政府はイランに対する経済制裁において、貴金属や米ドル、鉄鋼や石炭の取引などが制裁の対象となっています。これらの状況で通貨リアルが下落しており、これを補うため、金を購入しているとの指摘もあります。ただし、イランの金需要は欧米諸国での金売りを相殺するまでには至っていないようです。

その後は上昇しました。1,200ドル付近での推移が続く中、人民元が対ドルで上昇したことが材料視されました。また、米中貿易戦争への懸念は徐々に織り込まれていることも底堅さにつながりました。市場は世界最大の金消費国である中国の人民元の動きを注視し始めているようです。その後も小幅ながら上昇が続きました。米中の報復関税の応酬が激化する懸念が安全資産としての金買いにつながったとの指摘があります。また、ドル安・ユーロ高が進行したことも、ドル建て金相場の割安感につながりました。

9日には反落しました。薄商いの中、ドル高・ユーロ安の進行が重石となりました。米中貿易戦争に関連した目新しい材料もなく、値動きの乏しい夏枯れ相場となりました。ただし、中国人民元の対ドル相場が持ち直したことで、中国の需要が回復するとの見方が引き続き下値を支えています。一方、7月の卸売物価指数(PPI)が前月比横ばいとなり、最新週の新規失業保険申請件数は市場予想に比べて少なかったことから、インフレ期待が高まりにくい状況にあります。

週末にはほぼ横ばいの推移となりました。トルコリラ急落の危機を受けて、安全な投資先として需要が高まったものの、ドル高でドル建て金相場が割高となりました。週間ベースでは4週続落していましたが、先週はほぼ横ばいで終えました。トルコリラが一時23%安と過去最安値まで急落し、ロシア通貨ルーブルが2年超ぶりの安値を付け、さらにユーロやポンドが1年ぶりの安値水準に下落する中、安全資産としてドルが買われたことが上値を抑えました。先週の金相場は1年ぶりの安値となる1,204ドルを付けましたが、4月に付けた高値から11%の下落となる一方、ドルが13カ月ぶりの高値を付ける中、投資家らは金の売りポジションを積み上げています。

世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールド・シェアの保有高は8月3日の794.89トンから8月10日には786.08トンに減少しました。投資家の売り姿勢は変わっていないといえます。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX金先物市場での大口投機筋のポジションは8月7日時点で1万2,688枚の買い越しとなり、前週から2万2,649枚減少しました。買いポジションが963枚減少する一方、売りポジションが2万1,686枚増加したことで、ネットの買い越し幅が減少しました。投機筋は金相場の下落で、買いポジションを手仕舞いする売り一方、下落基調が継続すると判断した向きが売りポジションを積み上げており、弱いパターンは続いています。
円建て金相場も続落し、直近安値を更新しました。ドル建て金相場の下落やドル円の上値の重さが下落につながりました。

  

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縦軸:円建てゴールド/グラム(単位:円)

出所:マネックス証券

 

今週のゴールド

 

金相場は安値圏でのもみ合い状況からいつ脱するかに注目しています。上値の重い状況が続いていますが、1,200ドルを固めつつあり、反発に向かう動きになりつつあるといえます。ただし、明確な買い材料が見当たらないことから、投資家は安値圏でも慌てて買いを入れる状況にないことが、金相場の上値を抑えているといえます。市場は引き続き、米利上げとドル高を意識しているように思われます。このような状況では、金相場は上向きにくいといえます。そのような中、市場は人民元の動向に注目しているようです。人民元は年初こそ上昇していましたが、その後は中国政府の方針転換により下落しています。預金準備率の引き下げと元安政策に転換したことで、人民元が対ドルで下落すると、人民元建て金相場が上昇し、これが中国の金購入を抑制する可能性があります。一方、米国サイドが人民元安をけん制しており、これが直近の人民元安の抑制につながっています。人民元安が抑制されれば、人民元建て金相場が下落することで、金需要が高まる可能性があります。また、中国の株価の下落が止まりつつあることも支援材料になる可能性があります。さらに中国政府が景気刺激のため新たな支出を行うとの期待が高まっていることも、金相場には追い風となっています。金相場が1,200ドル付近で底打ちとなれば、これまで売り姿勢を強めていた投機筋や長期投資家が買い戻し始めることで、相場水準が戻し始める可能性があります。さらに、米国がイランに対して、貴金属や米ドル、鉄鋼、石炭の取引などを対象に経済制裁を発動しました。これにより、イラン国民が金を通貨の代替として使うことを考えるため、金に換金買いが入るとの思惑が強まる可能性があります。イランでの金需要の高まりなども材料視されることもあり得るでしょう。このように、いまの金市場では政治的な動きが重視されやすい地合いにあります。米国の金融政策などはおおむね織り込まれており、利上げが金相場を抑制するとの見方が徐々に低下すれば、金相場はすでに割安圏にあるだけに、上昇に転じる可能性は十分にあります。1,200ドルを維持しながら、1,220ドルを超えると、基調が転換すると考えられます。その場合には、1,250ドルをめざす動きになるものと思われます。また、インフレ率の動向にも注目が集まるでしょう。7月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.9%上昇と、高水準となりました。インフレ率の上昇は実質金利の低下につながり、金相場の割安感につながります。しかし、市場はこの点に注目していないといえます。したがって、市場が実質的な金相場の割安感に気づけば、反発基調に入るものと思われます。

円建て金相場は下値を固めるかに注目しています。節目の4,400円を割り込みましたが、その後は回復しています。この水準を維持し、反発に向かえば、基調転換の可能性が高まります。明確な基調転換までは慎重に状況を見極め、その上で買いを検討したいところです。

   

 

プラチナ

  

プラチナは小幅に反発しました。上値は重いものの、前週の安値を下回ることなく、横ばいからわずかに下値を切り上げる展開となりました。

世界最大のプラチナ生産国である南アフリカの通貨ランドは対ドルで大幅に下落しました。8月8日には13.08ランドを付けていましたが、10日には一時14ランドを超える水準にまで下落しました。しかし、ドル建てプラチナ相場への影響は限定的でした。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するNYMEXプラチナ先物市場での大口投機筋のポジションは、8月7時点で8,143枚の売り越しとなり、前週から売り越し幅が40枚縮小しました。買いポジションが2,660枚減少する一方、売りポジションも2,700枚減少したことで、ネットの売り越し幅が小幅に縮小しました。しかし、売り越し幅は、1995年以降で最大の水準を依然として維持しています。全般的な弱さは維持っされていますが、一方で投機筋の売り姿勢が弱まる一方、相場は下値を切り上げる動きになっており、徐々に弱い展開に変化が見られています。これらの動きを総合すると、相場の反転が期待できるといます。長期的に見れば、相当の安値圏であることは間違いないといえます。繰り返すように、現在のプラチナ相場の水準は、金融危機後の2008年12月以来の水準であり、値ごろ感で買いが入りやすいといえます。さらに、NYMEXプラチナ先物市場での投機筋の売り越し幅は過去最大の水準であり、これ以上の売り込みが入る可能性は低いと考えます。その結果、反転し始めると、売り込んだ投機筋の買い戻しが入りやすいことから、大きく上昇する可能性があると考えます。主要な需要先であるディーゼル車向けが大きく伸びる可能性は低いといえますが、需要自体がなくなるわけではありません。現時点であまり悲観的になりすぎるのも問題かと思われます。目先は850ドルを超えると基調が上向く可能性が高いことから、そのような動きになるかを注視したいと考えます。

円建てプラチナ相場は小幅に下落しました。ドル建てプラチナ相場が小幅に上昇する一方、為替相場がやや円高で推移したことで上値を抑えられました。とはいえ、下値は堅い動きになっており、下落基調に歯止めがかかっているように見えます。節目の3,100円に絡む展開にありますが、この水準を維持すれば、徐々に回復への機運が高まるものと考えます。まずはそのような動きになるかを確認したいところです。そのうえで、少しずつゆっくりを買い始めるのが賢明であると考えます。

 

20180813_Pratinum.png

縦軸:円建てプラチナ/グラム(単位:円)

出所:マネックス証券

 

  

 

シルバー

 

シルバーは小幅に下落しました。下値は堅い動きでしたが、一方で上値も重く、レンジでの推移となりましたが、わずかに値を下げました。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX銀先物市場での大口投機筋のポジションは、8月7日で4,341枚の買い越しとなり、前週から1,523枚減少しました。買いポジションが3,400枚増加する一方、売りポジションが4,923枚増加したことで、ネットの買い越し幅が減少しました。底堅さが見られ始めたと思われましたが、前週は投機筋がさらに売り姿勢を強めています。金相場が上値の重い状況になっていることから、銀市場に買いが入りづらい状況にあります。銀相場は他の貴金属に比べ、需給ファンダメンタルズよりも投機筋のポジション動向の影響を受けやすい傾向があります。現時点で需給面で明確な材料がない中、投機筋は相場の動きを重視する傾向にあります。そのため、連動性が高い金相場が反転し始めると、機械的な買い戻しが入り、基調が転換する可能性は十分にあると考えます。引き続き、金相場の動向を見ながら、そのような動きになるかを確認したいところです。目先は15.40ドルを超えるかに注目したいと考えます。この水準を超えると、基調転換の可能性が高まり、15.9ドルまで上昇すると考えます。

円建て銀相場は下落しました。ドル建て銀相場が小幅に下落する一方、為替相場が円高気味で推移したことで、節目の57円を割り込みました。まずは57円を回復し、下値を固められるかに注目したいところです。そのうえで、58円を超えるようだと、上昇に勢いがつきそうです。まずはドル建て銀相場の反転を確認し、下値が固まるのを確認したうえで、徐々に買い始めるようにしたいところです。

 

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縦軸:円建てシルバー/グラム(単位:円)

出所:マネックス証券