先週のゴールド

  

金相場は安値を大幅に更新しました。

週初から急落し、安値を更新しました。トルコリラ相場の暴落をきっかけに、投資家が金融市場から資金を引き出す動きを見せました。その結果、金市場からも資金が流出し、金相場は1,200ドルの節目を割り込み、2017年1月後半以来の安値まで値を崩しました。投資家が金よりも米国債をより安全な資産の逃避先として認識していることも、金相場の下押しにつながりました。また、ドルインデックスが一時13カ月ぶりの高値まで上昇するなど、ドル高もドル建て金相場の割高感につながりました。14日には小幅に反発しました。前日には心理的な節目の1,200ドルを割り込んだことから、値頃感による買い戻しが入りました。また、リスク回避の動きが一巡し、ドルの対ユーロ上昇が一服したことも下値を支えました。しかし、15日には再び大幅反落となりました。トルコなどの新興国通貨不安などを背景としたドルの堅調さが重石となり、2017年1月9日以来、約1年7カ月ぶりの安値をつけました。米政府高官が「トルコ政府が拘束している米国人牧師を釈放しなければ、さらなる経済制裁も辞さない」と警告したことで、市場心理が不安定化しました。トルコは鉄鋼・アルミニウムの輸入制限への対米報復措置として、アルコールや乗用車などの総額5億3,300万ドル規模の米国製品に追加関税を課したと発表しており、これも両国の関係の一段の悪化懸念につながりました。トルコリラの下落が他の新興国にも混乱が広がるとの不安が高まっており、ドルが資金の逃避先として認識される中、ドル高が金相場を押し下げるという構図になりました。16日にはさらに下落し、一時1,173.56ドルまで下落し、安値を更新しました。しかし、その後は値を戻し、ほぼ横ばいとなりました。中国商務省が、代表団が今月下旬に貿易協議のため米国を訪問すると発表し、米中による貿易摩擦緩和に向けた協議が進展するのではないかとの期待が広がり、投資家のリスク回避姿勢が後退しました。週末には反発しました。ドルが対ユーロで軟化したことで、ドル建て金相場の割安感が強まりました。今月下旬に再開される米中貿易協議が進展し、両国間の貿易摩擦が緩和に向かうとの期待も金需要の拡大観測につながりました。

世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールド・シェアの保有高は8月10日の786.08トンから17日には772.24トンに減少しました。投資家の売り姿勢はなお続いており、金離れの動きは止まっていません。
CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX金先物市場での大口投機筋のポジションは8月14日時点で3,688枚の売り越しとなり、前週からネットの売りが1万6,376枚増加しました。買いポジションが3,487枚増加する一方、売りポジションが1万9,863枚増加したことで、ネットポジションが買い越しから売り越しに転じいました。売り越しは2001年5月13日の週の1万8,339枚の売り越し以来です。金相場の下落基調が続いていた1996年半ばから2001年前半には、売り越しの状況が続いてたことがありましたが、それ以来の売り越しとなります。ただし、今回の動きを見ると、安値圏と判断した向きが買いポジションを積み上げる一方、下落基調の継続から機械的に売りポジションを積み上げている向きがいることがわかります。ここまで下げてなお売りを仕掛ける投機筋がいる一方で、割安と判断して買い始めている向きもいることが確認できます。

円建て金相場も続落し、直近安値を更新しました。ドル建て金相場の下落やドル円の上値の重さが下落につながりました。

  

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縦軸:円建てゴールド/グラム(単位:円)

出所:マネックス証券

 

今週のゴールド

 

金相場はようやく底打ち機運が高まってきた感があります。前週は1,175ドルを一時割り込みましたが、この水準は過去に何度も重要な節目になっていたこともあり、ここで反発すれば、上昇に転じる可能性は十分にあると考えます。市場では、金相場は底打ちし始めるとの見方が浮上する一方で、安値余地の可能性を指摘する声もあります。また、世界的な貿易摩擦激化への懸念やトルコ通貨リラの急落に伴う新興国通貨危機への不安などを背景に安全資産としての金需要が高まるとの見方もあります。トルコリラは、同国のエルドアン大統領が経済への介入を一段と強めるだけでなく、対米関係も悪化させていることが背景にあります。政治や経済に絡んだ不透明感が広がっているときには、投資家は伝統的に資産の価値を守る手段として金を選好する傾向があります。しかし、現在はそうした環境にあるにもかかわらず、投資家は資産の安全な逃避先として金でなく、米国債に資金をシフトさせています。また、インフレが進行している際にも、投資家は金に資金をシフトする傾向がありました。しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ継続観測が根強いこともあり、投資家は代替資産として金利を生まない金よりも米国債に資金を振り向ける傾向にあります。そのため、金は安全資産としての扱いではなく、ドルや金利を見ながら変動している状況にあります。このように考えると、いまの金市場は過去の歴史では考えにくい状況にあるといえます。しかし、市場は最終的にはセオリーにも基づく動きになると考えます。つまり、インフレが意識される中、実質金利からみた割安感から買いが入るという展開です。また、繰り返すように、過去の米消費者物価指数(CPI)と金価格の関係からも、金相場の将来的な上昇が見込まれます。過去のデータでは、現在の米CPIの水準では、金相場は2年後に2割以上の上昇となっています。現時点の割安感も考慮すれば、金相場は1,450ドル程度まで戻すとの考えられます。現在は、投資家行動が金相場を大きく押し下げていますが、いずれフェアバリューに戻すことになると考えます。短期的には、1,185ドルを超えると上昇に勢いがつき、さらに1,210ドルを超えるとさらに上値を試すものと考えます。

円建て金相場は反発のタイミングを見極めたいところです。節目の4,300円をも割り込みましたが、これを回復できれば、基調が上向くと考えます。まずは、そのような動きになるかを確認したうえで、徐々に買い始めたいと考えます。

   

 

プラチナ

  

プラチナは反落しました。金相場の下落につれる形で下げ基調が続き、16日には一時777.25ドルまで下落し、金融危機後の2008年12月以来の安値水準を付けました。世界最大のプラチナ生産国である南アフリカの通貨ランドは対ドルで大幅に下落しました。8月13日には15.47ランドまで下落し、2016年6月以来の安値をつけたことが、ドル建てプラチナ相場を押し下げました。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するNYMEXプラチナ先物市場での大口投機筋のポジションは、8月14時点で1万182枚の売り越しとなり、前週から売り越し幅が2,039枚増加しました。買いポジションが2,091枚増加する一方、売りポジションが4,130枚増加したことで、ネットの売り越し幅が拡大しました。売り越し幅は1995年以降で最大の水準を依然として維持しています。投機筋は売り姿勢を再び強めましたが、一方で安値圏と見た向きの買いも入っています。投機筋の多くは、依然として下落トレンドを重視して売り込みを続けていますが、金融危機後の安値まで下げていることを考慮すれば、相当安い水準にあるように思われます。そのため、売り込んだ投機筋の買い戻しがいったん入り始めると、相応の戻りとなる可能性がきわめて高いと考えます。主要な需要であるディーゼル車向けが今後大きく伸びる可能性は低いとの見方は根強いものの、相場水準を考慮すれば、これ以上の安値水準は持続しづらいように思われます。まずは785ドルを回復するかを確認し、そのうえで815ドルまで戻すかを見極めたいところです。そのうえで、840ドルを超えると、中期的な基調は上向くと考えます。

円建てプラチナ相場は大幅安となりました。節目の3,000円を割り込み、安値を更新しました。反発のきっかけがつかみにくいところですが、まずはドル建てプラチナ相場が反転するかを確認したいところです。そのうえで、2,900円を固め、3,000円を回復できるかを見極めたいところです。そのような動きになれば、徐々に買い始めることを検討したいところです。

 

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縦軸:円建てプラチナ/グラム(単位:円)

出所:マネックス証券

 

  

 

シルバー

 

シルバーは急落しました。金相場の下落につれる形で下げ基調となり、16日には14.30ドルまで下落し、2016年2月以来の安値をつけました。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX銀先物市場での大口投機筋のポジションは、8月14日で2,836枚の売り越しとなり、前週からネットの売りが7,177枚となったことで、買い越しから売り越しに転じました。買いポジションが330枚増加する一方、売りポジションが7,507枚増加したことで、ネットポジションが売り越しに転じました。投機筋は再び姿勢を強めていますが、トレンドの崩れから機械的に売りを仕掛けてきているといえます。一方で、安値と見た向きが新規の買いを入れており、買い姿勢を見せる投機筋もいます。いまは金相場の下落が顕著であり、戻りを試す動きも見られないことから、銀相場の基調転換には時間がかかる可能性があります。繰り返すように、銀市場の独自の需給ファンダメンタルズ要因に乏しく、金相場の影響を受けやすい地合いは変わっていません。そのため、今後も金相場の動向を注視しながら、反発のタイミングを探ることになりそうです。まずは反発基調が続き、15.20ドルを超えるかを確認したいところです。これを超えると、15.70ドル程度までの戻りが想定されます。この水準を超えることができれば、基調は上向くと考えます。売られすぎ感も強いため、その可能性は十分にあると考えます。

円建て銀相場は大幅下落しました。ドル建て銀相場の急落を背景に、54円割れの水準にまで下落しました。現在のトレンドはきわめて弱いことから、値ごろ感からの買いは手控えたいところです。まずは54円割れを回避し、さらに以前のサポート水準であった57円を回復するのを確認するのが賢明と考えます。安値にあるため、いずれ戻しそうに思われますが、いまはより確実なところで買いを検討すべきと考えます。そのうえで、徐々に買い始めるようにしたいところです。

 

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縦軸:円建てシルバー/グラム(単位:円)

出所:マネックス証券