先週のゴールド

  

金相場は急伸しました。

週初は小幅上昇しました。前週は1年半超ぶり安値を付けましたが、人民元が上昇したことで、世界最大の金消費国である中国の買いが戻ってくるとの見方が強まりました。その後も上昇し、1週間ぶりの高値をつけました。トランプ大統領が米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げを批判したことを受けて、ドルが軟化したことが支援材料となりました。トランプ大統領はロイターのインタビューで、自身の景気押し上げに向けた取り組みをFRBはもっと後押しすべきだとの考えを示しました。その後は横ばいとなりました。7月31日、8月1日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨で、地政学的リスクがあるものの、追加利上げが近いとの見方が改めて示されました。これが予想通りの内容だったことから、ドルが軟化しましたが、1,200ドルを前に上値の重い展開となりました。ドル指数が8月2日以来の安値となる94.93まで下落しましたが、金相場は軟調に推移し、買い意欲は高まりませんでした。その後は下落しました。FRBによる追加利上げ方針や、米中が互いに報復関税を発動したことから、ドル高が進んだことで売られました。心理的な節目の1,200ドルに乗せる場面がありましたが、その後はドルが再び上昇したため、この水準を維持できずに下げました。週末には急伸し、1,200ドルを回復しました。パウエルFRB議長が講演で示した金融政策の方向性がハト派的と解釈されたことで、ドルが下押されたことが金相場を押し上げました。パウエル議長は、米ワイオミング州ジャクソンホールで行った講演で、インフレをコントロールしながら段階的に利上げを進める政策は米国経済を守り、可能な限り雇用の増加を維持する上で依然として適切と指摘しました。また、トランプ米大統領の選挙資金法違反疑惑などの影響で、政治的な不透明感が拡大していることで、ドルの上値が重い展開となっていることも、ドル建て金相場を支えました。

世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールド・シェアの保有高は8月17日の772.24トンから24日には764.58に減少しました。投資家の売り姿勢が継続しており、金離れの動きは止まっていません。
CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX金先物市場での大口投機筋のポジションは8月21日時点で8,710枚の売り越しとなり、前週からネットの売り越し幅が5,022枚増加しました。買いポジションが1,721枚増加した一方、売りポジションが6,743枚増加したことで、ネット売り越しが拡大しました。下落基調が続く中、投機筋は売り姿勢をさらに強めてきましたが、週末に急伸しており、来週発表分のデータで投機筋の姿勢が変わったかを確認したいところです。

円建て金相場は大幅反発しました。ドル建て金相場が上昇したことに加え、ドル円相場が円安方向となったことで4,300円を回復しました。

  

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縦軸:円建てゴールド/グラム(単位:円)

出所:マネックス証券

 

今週のゴールド

 

金相場は底打ちから上昇に向かう素地が整いつつあると考えます。週末には急伸しましたが、下げすぎであったこともあり、これ以上の下落を見込みづらいと考えた投機筋が買い戻しを進めたことが、1,200ドル回復につながったものと考えられます。この数カ月間は、投資家はドル高や将来的な金利上昇、低インフレ、株価の上昇などを理由に、これまで保有してきた金を手放す動きを強めました。さらに下落基調が続く中、投機筋も売りポジションを拡大させたことで下げがさらに助長されるといった動きにありました。COMEX金先物市場では、投機筋のネットポジションが売り越しになるところまで売り込まれており、きわめて異例の状況が見られました。しかし、24日のパウエルFRB議長の発言をきっかけに、基調が変わる可能性が出てきました。FRBはこれまでどおり、慎重に利上げを継続していくものと思われますが、市場はこれを相当部分織り込んでおり、今後は徐々に金相場の割安感が意識されると考えます。また、金相場の下落で実需の買い意欲が高まるかにも注目しておきたいと考えます。今年前半は二大金消費国のインドの金需要が、自国通貨ルピーの下落で低迷したことから、新興国通貨の下落に歯止めがかかるかはきわめて重要と考えます。また、中国は人民元安が進まないように政策を進めるとしており、これまでのような一方的な元安が進まない可能性があります。そうなれば、金需要が回復する可能性もあります。実需が戻る過程で金相場が戻り始めると、これまで売り一辺倒だった投機筋も買い戻しを進めることが想定され、これが相場を大きく押し上げる可能性があります。ちなみに、現在のように、過去52週の安値を更新したあとの金相場の動きを調べると、2000年以降では半年後に4.2%上昇、1年後に10.3%上昇、2年後に16.9%上昇しています。また、上昇確率はそれぞれ63.3%、76.7%、76.7%と高率です。金相場が15%も上昇する状況はあまりみられませんが、今回はその可能性が高まっているといえます。また、インフレへの関心が高まるかにも引き続き注目したいところです。繰り返すように、米消費者物価指数(CPI)が2.1%以上で推移した場合、過去には1年後に7.3%、2年後に16.7%上昇しています。さらに、米CPIが3%を超えた場合、過去には1年後に11.1%、2年後に25.1%上昇しています。現在の米CPIは2.9%であることを考慮すれば、今後金相場が相応の上昇を見せると考えるのが妥当といえそうです。当面は節目の1,200ドルを固め、1,230ドルを試す動きになるかを確認したいところです。これを超えると1,250-1,260ドルを試す展開も十分に想定されると考えます。

円建て金相場は節目の4,300円を回復したことで、基調が上向く可能性が高まっています。ドル建て金相場の上昇と円安基調を背景に、基調が転換しつつあると判断します。上昇基調がさらに続くかを見極めながらも、徐々に慎重に買い始めたいと考えます。

   

 

プラチナ

  

プラチナは反発しました。

全般的に安値圏からの戻りを試す展開でしたが、800ドルを前に上値の重さを感じる展開でした。世界最大のプラチナ生産国である南アフリカの通貨ランドは対ドルで反発したことは、多少なりともドル建てプラチナ相場の下支え要因になったと考えられます。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するNYMEXプラチナ先物市場での大口投機筋のポジションは、8月21日時点で1万992枚の売り越しとなり、前週から売り越し幅が810枚減少しました。買いポジションが2,060枚減少した一方、売りポジションも1,250枚減少したことで、ネットの売り越し幅が小幅に縮小しました。とはいえ、売り越し幅は依然として1995年以降で最大の水準を依然として維持しています。今後は金相場が反発に向かうにつれて、投機筋は徐々に売り姿勢を弱める可能性があると考えます。売りポジションに対する買い戻しが入るようであれば、急激に価格が戻す可能性が十分にあります。ただし、繰り返すように、プラチナの実需面を背景に、安値圏にあることを理由に積極的に買いを入れる向きも少なく、値を戻した場合でも、自律反発的な動きにとどまる可能性があります。したがって、今後もプラチナ相場に関しては慎重に見ていく必要があると考えます。特に、ディーゼル車向けの需要減退に関して敏感になっています。この点が大きく改善される可能性は低いと考えられるため、引き続き注意が必要といえるでしょう。当面は節目の800ドルを超えるかに注目しておきたいところです。長い目で見れば、現在の相場水準はかなり低いように感じられます。一般的に値ごろで相場動向を判断するのはリスクがありますが、現在の水準はある程度このような視点でみてもよいと考えます。

円建てプラチナ相場は反発しました。節目の2,900円を維持しながら、横ばいでの推移が続きました。ただし、3000円の大台は回復していません。まずはドル建てプラチナ相場の戻りを確認し、3,000円を試す動きになるかをみきわめたうえで、慎重に買い始めることを検討したいところです。3,000円を回復すれば、上昇に勢いも出てくると考えます。

 

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縦軸:円建てプラチナ/グラム(単位:円)

出所:マネックス証券

 

  

 

シルバー

 

シルバーは反発しました。

週中まで横ばいで推移した後、23日には14.4ドル台にまで急落しましたが、24日には金相場の急伸につれて値を戻すなど、激しい展開となりました。CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX銀先物市場での大口投機筋のポジションは、8月21日で7,158枚の売り越しとなり、前週からネットの売り越し幅が4,322枚拡大しました。買いポジションが1,918枚減少した一方、売りポジションが2,404枚増加したことで、ネット売り越し幅が拡大しました。投機筋は再び姿勢を強めています。15日に14.3ドル台に急落した際に売り込んだ可能性が高いと考えられます。したがって、今後相場が下げなくなった場合には、トレンドの崩れから機械的に売りを仕掛けてきた向きが買い戻しを入れることで、相応の上昇圧力がかかる可能性が高いといえそうです。また、値ごろ感で買っていた向きも手仕舞い売りを出しており、買い余力があると考えられます。これらから、想像以上に水準を切り上げる可能性は十分にあるといえます。

ただし、繰り返すように、銀独自の材料に欠ける状況は変わっていません。銀市場の需給ファンダメンタルズ要因に関するタイムリーな情報は乏しく、基本的に金相場の影響を受けやすい構造は変わりません。したがって、今後も金相場の動向を注視しながら、反発のタイミングを探ることになります。まずは反発基調が続き、節目の15ドル、さらに15.50ドルを超えるかを確認したいところです。これを超えると、基調はかなり明確な形で上向くと考えます。

円建て銀相場は横ばいでの推移となりました。54円と55円のレンジ取引になっており、これをどちらに抜けるかを見極めることになりそうです。54円割れを回避し、55円を超えてくると、トレンドが見えてくる可能性があります。その動きが確認された段階で、徐々に買いを検討したいところです。大きく値を下げたあとだけに、戻り始めると買い戻しから想定以上に戻す可能性もあります。その場合には、まずは57円がターゲットになると考えます。

 

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縦軸:円建てシルバー/グラム(単位:円)

出所:マネックス証券