先週のゴールド

金相場は続落しました。

週初は金相場は小幅上昇しました。英国のEU離脱交渉が速やかにまとまるとの期待でポンドとユーロが対ドルで上昇したことが材料視されました。英国のEU離脱交渉を担当するバルニエEU首席交渉官は、離脱について「6-8週間での合意が現実的だ」と発言しました。北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉に関して、カナダが譲歩するとの見方が強まり、ドルが対主要通貨で下落したことが買いにつながりました。ただし、トランプ大統領が中国からの輸入品の事実上全てに追加関税を課す用意があるとしたことや、中国が報復措置を警告したことが上値を抑えました。その後は下落しました。米中貿易協議の再開が見込まれる中、安全資産である金を売って、リスクの高い株式などの資産を購入する動きを強めたことが重石となりました。また、8月の米消費者物価指数(CPI)が前年同月比2.8%上昇と市場予想を下回ったことを受けて、米国内のインフレ率が加速しているとの見方が低下したことが重石になりました。週末には続落し、節目の1200ドルを割り込みました。トランプ大統領が中国製品に関税を上乗せする追加制裁の発動を側近に指示したと報じられたことで、ドルが上昇したことが圧迫しました。また、米国経済指標が堅調な内容だったことで、米長期金利が上昇したことも押し下げにつながりました。世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールド・シェアの保有高は9月7日の745.44トンから14日には742.53トンに減少しました。投資家の売りは依然として続いています。CFTC(米先物取引委員会)が公表するCOMEX金先物市場での大口投機筋のポジションは9月11日時点で7590枚の売り越しとなり、前週からネットの売り越し幅が5907枚減少しました。買いポジションが1395枚減少しましたが、売りポジションが7302枚減少したことで、ネット売り越しは縮小しました。金相場が下げ渋ったことから、投機筋は売りポジションを縮小しています。円建て金相場は下落しました。ドル円相場は円安方向でしたが、ドル建て金相場が下落したことが下落につながりました。

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縦軸:円建てゴールド/グラム(単位:円)

出所:マネックス証券

 

 

今週のゴールド

金相場は引き続き1200ドルを挟んだ値動きが続くと考えます。市場では、投資家の買いが依然として膨らまない状況にあります。米連邦準備制度理事会(FRB)による追加利上げへの懸念が金相場を押し下げています。金利上昇は、金利が付かない資産である金への買い意欲を弱めることになります。また、貿易戦争への懸念で人民元が下落していることも、中国の金需要の低下を想起させる結果となっています。一方で、これまで一方的な下落基調にあったインド通貨ルピーが対ドルで上昇に転換しており、この基調が続くと、インドからの買いが膨らむとの連想から金相場が買われる可能性があります。相場反転のきっかけがなかなか見当たらない中、金融市場の面からのサポート要因が期待しづらいことから、現物市場からのサポートがあるかが、今後の金相場の動向を左右することになりそうです。一方、金融市場では、先週は対欧州通貨でのドル安が進みました。特にポンドの上昇が顕著でした。ユーロは週末に下げたものの、反発基調を維持しています。欧州通貨の上昇が金相場のサポート要因になるかに注目しておきたいところです。また市場では、中国の動向に関心が集まっています。米中貿易戦争の動きが緩和されれば、中国の買いが戻ってくるとみられています。一方、新興国通貨の下落に歯止めがかかっていることは、上昇・下落の両面の材料になり得ると考えられます。新興国通貨が反転すれば、ドル安になるため買い材料視されやすくなります。一方で、リスクオンの動きに転じ、リスク資産である株式への資金シフトが強まることで、金への投資が抑制される可能性があります。このように、金を取り巻く環境はやや複雑になっています。また、インフレ懸念もやや低下しており、これもインフレヘッジの買い需要を減退させると考えられます。一方で投資家や投資家の売りは続いていますが、これらの売りはかなり過剰になっているように見えます。そのため、いったん相場が戻り始めると、金先物市場での投機筋のショートの買い戻しが加速し、これが反発基調を強める可能性は常にあります。反転に結び付く材料を見出すのは難しい状況ですが、市場動向を注視しながら、金市場を取り巻く環境の変化を逃さないようにしたいところです。目先は1200ドルを回復し、さらに1215ドルを超えてくると、上昇しやすくなります。一方で、1190ドルを割り込むと下げが加速しやすいため注意が必要です。円建て金相場は4400円を超えられずに下げており、目先は下値を試す展開が想定されます。再び4300円を目指す可能性が高まっており、まずは当面の底値を確認する必要があります。いまは押し目買いを避け、基調が反転するのを慎重に見極めたいところです。そのうえで、4400円を回復し、これを固めることができれば、徐々に買いを検討したいと考えます。

 

プラチナ

 

プラチナは上昇しました。

週初の金相場の上昇につれる形で値を上げ、週末こそ下げましたが、それでも週間ベースでは上昇しました。世界最大のプラチナ生産国である南アフリカの通貨ランドが対ドルで上昇に転じたことも、ドル建てプラチナ相場を支えたと考えられます。CFTC(米先物取引委員会)が公表するNYMEXプラチナ先物市場での大口投機筋のポジションは、9月11日時点で7568枚の売り越しとなり、前週からネット売り越し幅が4348枚縮小しました。買いポジションが1706枚増加し、売りポジションが2642枚減少したことで、ネットの売り越し幅が縮小しました。この間にプラチナ相場が上昇したこともあり、割安と判断して買いを増やす投機筋がいる一方で、売りポジションを縮小する動きが強まり、ネット売り越し幅が縮小しました。プラチナ相場も反転に向かう材料に乏しく、先週の上昇もあくまで買い戻しが主体と思われます。現状では現物市場に新規の材料はなく、相場の上昇を後押しする要因は見当たりません。繰り返すように、ドイツでの8月のディーゼルエンジン車の国内販売全体に占める比率は前年同期の37.7%から32.6%に低下するなど、ディーゼル車の販売台数の拡大は想定しづらくなっています。このような背景を考えると、生産調整などがない限り、プラチナ相場の水準訂正は置きづらいと考えられます。現在の水準から大きく下げることも想定しづらいと思いますが、大きく上げるには需要増よりも、まずは生産減に関する材料が不可欠と考えます。南アフリカでの減産の報道が出てくるかを注視しておきたいところです。目先は760ドルがサポートと考えられます。一方で、810ドルを超えると基調が明確に変わると考えられます。そのような動きになるかを確認したいところです。円建てプラチナ相場は3000円超えに失敗したものの、2900円台半ばで下げ渋りました。この水準を維持しながら、ドル建てプラチナ相場の上昇や円安基調が確認されれば、3000円を超えて上向く可能性はあると考えられます。いまは押し目買いを検討するよりも、3000円を超えて、これを維持する動きを確認したうえで、買いを検討したいところです。

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縦軸:円建てプラチナ/グラム(単位:円)

出所:マネックス証券

 

シルバー

シルバーは続落しました。下げはしましたが、安値圏での横ばいのような動きでした。先週来、14ドルを底値に上値の重い展開が続いています。CFTC(米先物取引委員会)が公表するCOMEX銀先物市場での大口投機筋のポジションは、9月11日で2万7403枚の売り越しとなり、前週からネットの売り越し幅が1571枚縮小しました。買いポジションが1966枚減少しましたが、売りポジションが3537枚減少したことで、ネット売り越し幅が縮小しました。投機筋は下げにくくなっているなかで、売りポジションをやや縮小たことになります。もっとも、上昇しないことで、買いポジションを手仕舞いする向きも存在しており、安値圏で投機筋は次の動きを見極めようとしています。とはいえ、銀市場独自の材料に乏しい状況は変わっておらず、安値圏での膠着状態が続く可能性もあります。上昇に転じるには、少なくともテクニカル的に買い戻しが入る水準と思われる14.40ドルを超えることが不可欠と考えます。先行指標である金相場の動向を見ながら、14.40ドルを明確に超えるか、または節目の14ドルを割り込むかを確認したいところです。円建て銀相場も下落しました。55円を超える場面がありましたが、これを維持できずに下げており、まずは54円で下げ止まるのを待ちたいところです。そのうえで、反発に転じ、55円を明確に超えるのを確認したうえで、買いを検討したいところです。いまは安易な押し目買いを避け、上昇に転じるのを待つのが賢明と考えます。

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縦軸:円建てシルバー/グラム(単位:円)

出所:マネックス証券