先週のゴールド 

金相場は小幅に上昇しました。週初から値を戻しました。ドルの軟化とショートカバーが金相場を支えました。

投資家が米中貿易摩擦の激化に警戒を強める中、「資産の安全な逃避先」としての買いも入りました。中国製品に対する米国の新たな制裁関税発動に関して市場に不透明感が広がる中、世界的な株価の軟化やドルインデックスの下落が金相場を押し上げました。

15日には下落しました。中国が米国による新たな制裁関税への報復措置を取るとの報道を受けて、ドルが上昇したことが重石となりました。米国債利回りの上昇も金相場を圧迫しました。中国は米国の新たな制裁関税に対して報復措置を取らざるを得ないとの見解を表明し、トランプ大統領が中国からのほぼすべての輸入品に近く関税を課すリスクが高まりました。その後は上昇しました。

ドルの軟化が支援材料となり、1,200ドルを回復しました。米中貿易摩擦への懸念が緩和し米長期金利が上昇しましたが、材料視されませんでした。豪ドルの上昇などが材料視された可能性が指摘されました。その後も金相場は上昇し、一時1週間ぶりに高値を付けました。米中貿易摩擦の短期的な影響への懸念が和らぎ、ドルの安全資産としての魅力が低下し、ドルが主要通貨バスケットに対して9週間ぶりの安値を付けたことが材料視されました。

また、米中がそれぞれ直近に表明した相手国からの輸入品に対する追加関税措置が懸念されていたよりも抑制された内容だったことへの安心感が金の上昇につながりました。週末には下落しました。欧州連合(EU)が英政府の離脱方針を拒否したことを受けてメイ英首相がEUに対して代替案の提示を要求したことで、ドルがポンドとユーロに対して上昇したことが金相場を押し下げました

米中が互いに相手国に対して表明した最新の貿易制裁措置が世界の経済成長を損ねる可能性は低いとの見方がドルの上昇を主導したことや、中国政府が国内の消費拡大に向けた措置を講じる方針を示したことも、ドルの上昇を支えました。

世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールド・シェアの保有高は9月14日の742.53トンから21日には742.23トンに小幅減少しました。保有高は減少はしましたが、投資家の売り姿勢が徐々に弱まっている可能性が示されたといえます。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX金先物市場での大口投機筋のポジションは9月18日時点で1万844枚の売り越しとなり、前週からネットの売り越し幅が3,254枚増加しました。買いポジションが570枚減少し、売りポジションが2,684枚増加したことで、ネット売り越しが再び拡大しました。金相場は徐々に下げ渋っており、週後半の投機筋の動向を確認したいところです。

円建て金相場は上昇しました。ドル建て金相場の上昇とドル円相場が円安方向となったことが押し上げにつながりました。

  

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縦軸:円建てゴールド/グラム(単位:円)

出所:マネックス証券

 

今週のゴールド

金相場は引き続き1,200ドルを挟んだ値動きが続くと考えます。ただし、1,210ドルを超えると上昇しやすくなると考えられます。これまでは過熱する貿易摩擦の話題が売買を手控えさせたことで、安値圏での値動きが続く要因となりました。投資家は売り姿勢をやや弱めているものの、様子見を決め込んでいます。

一方、COMEX金先物市場でのネットショートポジションは依然として高水準にあります。そのため、ショートカバーの買いが入ると、買い戻しが相場を押し上げる余地が相当大きいといえます。これまで投資家・投機家がすでに十分に売っているだけに、今後は反発のきっかけが何になるかを探る展開になりそうです。この点に関しては、通貨の動向がポイントになると考えられます。上記のように、英国のEU離脱に関する交渉が暗礁に乗り上げると、これまで戻り歩調だったポンドやユーロが下落し、これがドル建て金相場を押し下げる可能性があります。

一方で、インドや中国といった主要需要国の通貨の動向にも注意が必要です。インドの通貨ルピーの下落基調が続いてことで、今年のインドの宝飾品需要は低迷しています。今後は婚礼シーズンなど年末までの需要期に入りますが、ここで通貨が下落すると需要が伸びない可能性があります。一方、中国は人民元安の政策を米国から抑制されており、下落しづらい状況にあることは、金需要を支える可能性があります。

米中貿易戦争への懸念が緩和されれば、金需要は回復に向かうものと考えます。一方、25日、26日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げ決定が確定的になっています。2019年以降の金融政策に関するコメントが金相場に与える影響を見極めたいところです。

ドル建て金相場は下値が堅く、1,180ドル以下に下落する可能性低下していると考えています。一方、1,210ドルを超えた場合には、1,250ドル程度までの上昇を見込んでいます。
円建て金相場は底堅い展開を想定します。ドル建て金相場が下げ渋る一方、ドル円が円安方向での推移を維持し、4,400円を割り込まずにこの水準を固めることができれば、徐々に買いを検討したいと考えます。

プラチナ

プラチナは上昇しました。金相場が底堅く推移したことや、世界最大のプラチナ生産国である南アフリカの通貨ランドが対ドルで大幅上昇したことなどが押し上げにつながりました。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するNYMEXプラチナ先物市場での大口投機筋のポジションは9月18日時点で2,210枚の売り越しとなり、前週からネット売り越し幅が5,358枚縮小しました。買いポジションが795枚増加し、売りポジションが4,563枚減少したことで、ネットの売り越し幅が縮小しました。

プラチナ相場が上昇したことから、割安と判断して買いを増やす投機筋が増え、さらに売り手の投機筋も徐々に買い戻しを入れ始めているように見えます。プラチナ相場は760ドルあたりを底値に下値を切り上げており、徐々に底打ち機運が高まっているように見えます。

欧州自動車工業会(ACEA)が発表した8月のEUの新車(乗用車)販売台数は前年同月比31.2%増の113万4,288台となりました。5ヶ月連続のプラスと好調さを維持しています。ただし、EUの国際統一燃費試験法(WLTP)の9月施行を前にした値下げキャンペーンが大幅増につながったもようで、今後の動向には要注意です。7月の販売台数は10.5%増の127万7,074台でした。

8月の国別では、フランスは40.0%増、ドイツは24.7%増でした。一方、ドイツのショイアー運輸相は、旧式ディーゼル車から新車への買い替えを促すため、自動車メーカーの費用負担についてメーカー側と協議を行っていると報じられています。ショイアー氏は、国内自動車メーカーは旧式ディーゼル車の所有者に買い替えを促すため、魅力的な奨励金を提供すべきだと発言したとされています。

ただし、政府は「我々は自動車ディーラーではない」として、国から補助金が出ることはないと言明しているようです。政府の意向通りになれば、国内各地が導入済みあるいは今後導入する規則によって、複数の都市では旧式ディーゼル車130万台が禁止されることになる見通しです。

ショイアー氏は、「旧式の車種に排ガス抑制の新技術を組み入れて改良を加える手法については、技術とコストの面で理にかなう場合にのみ行うべきだ」としています。同氏によると、2世代前の排ガス規制「ユーロ4」に適合するディーゼル車310万台と1世代前の「ユーロ5」に適合するディーゼル車350万台はこういった改良ができないといいます。さらに、その他のモデルでは、改良コストは1台当たり3,000ユーロ以上になる見通しです。コスト面で現実的ではないとの出てきそうであり、今後の動向に注目して位と考えます。

さて、プラチナ相場はさすがに下げすぎ感が強まっていたようです。もっとも、先週も戻りで短期的にはやや買われすぎ感が強まっており、目先は調整が入る可能性があります。したがって、その場合にどの程度の水準で下げ止まるかを確認することになります。節目の800ドルを維持できれば、上昇基調は維持されると考えられます。この点に注目しておきたいところです。

円建てプラチナ相場は急伸し、3,200円に迫る上昇となりました。ただし、7月高値とほぼ同水準であり、これを超えられないといったん調整する可能性があります。ドル建てプラチナ相場の動向に注意しながら、3,100円前後で下げ止まるようであれば、押し目買いを行いやすいと考えます。したがって、この水準での下げ止まりを確認したうえで、買いを検討したいところです。

 

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縦軸:円建てプラチナ/グラム(単位:円)

出所:マネックス証券

シルバー

シルバーは反発しました。金相場の上昇につれる形で値を上げましたが、大きく上昇するような動きにはならず、14ドル台前半での推移が続きました。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX銀先物市場での大口投機筋のポジションは、9月18日で2万5,516枚の売り越しとなり、前週からネットの売り越し幅が1,887枚縮小しました。買いポジションが1,071枚減少しましたが、売りポジションが2,958枚減少したことで、ネット売り越し幅が縮小しました。

下げ渋る中、戻りを利用して手仕舞い売りを出す投機筋がいる一方で、買戻しを行っている向きもいます。下値は徐々に切り上がっているように見えますが、金相場の上値が依然として重いことや、銀市場独自の材料がないことから、上向きにくい状況は変わっていません。

しがたって、引き続き金相場の動向を見ながら、上昇に転じるかを確認することになります。14.25ドルを明確に上抜いてくれば、上昇に向けた動きが明確になる可能性があると考えます。その場合には。14.80ドル程度までの上昇が期待できます。下値リスクはかなり遠のいていると考えられ、現時点で14ドル割れを想定する必要はないと考えています。

円建て銀相場も下落しました。52円割れ回避からの反発基調が続き、54円まで上昇しました。ただし、これを超えていないことから、まずはこの水準を超えて維持できるかを確認したいところです。そのうえで、基調回復がより明確になった段階で、買いを検討したいところです。下値リスクは小さいと考えますが、これまで下落基調が続いてきただけに、慌てずに慎重にトレンドの回復を見極めるのが賢明と考えます。

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縦軸:円建てシルバー/グラム(単位:円)

出所:マネックス証券